ラァは運命の日を書き終えると、一番気になっていることを聞いた。

「それで…カルミさんはその魔物をスキップさせたあと、誰か他の一族に会いませんでした?」

「いや、きみが初めてだ。」

「そうですか…」

「一族が四散してからもう40年は経っている…。もう一族を探すのはあきらめた方がいい。」

「…」

「…俺もそう長くはない。もしかしたらあと2、3分で死…。」

カルミは喋っている途中で黙り込んでしまった。
「カルミは伝えたいことは全て伝えたんだ。もう悔いはないだろう。」

グノームはそう言うと、カルミを寝かせ、顔を隠した。

カルミの寿命が来た。
「そのプロックって奴は、よく分からない。魔物を俺たちが遠くの時間に飛ばしたあと、どこかに消えちまったんだ。」

「それで…その魔物はどの時間に飛ばしたんです?」

「いいこと聞くな。おれは今周りにそれを伝えるのを仕事にしている。仕事というか、残された者の使命というか。」

ラァはカルミに魔物がやってくる時を聞いた。その時を手にしている予言の書に書き込んだ。
「本当にこいつは死んでないんだろうな?」

ザックは目の前の黒焦げの大男を指差していった。

「手加減や力の微調整をするのはお前の腕だろ?」

「それはもっと先に言えよー!」

アルジに文句を言ってから大男の脈を取ってみる。まだ心臓は動いているようだ。

「そのまま大男をさわっててくれないか?」

「あん?」

ザックは不意にアルジに話しかけられた。

「そう、そのまま…。」

大男に触れている右手が、何やら熱くなってゆくのを感じる。

「やはりな。こいつの契約した悪魔は低級だ。」

「低級上級ってあんの?」

「そりゃお前、悪魔っていえば人間以上に格差社会なんだぜ?」

「そうなのか?」

「今回は低級だから倒すのも簡単だったけど、クラスが上になるにつれてどんどん手ごわくなってくるぜ?」

「どんなだ?」

「昔どうしても勝てない奴がいて、そいつは手から炎が出せるんだ。」

「俺の雷に似た力か…。」