「…だから、もう一人連れてきた。もう、技も使えてないはずだぞ。」

「…!!」

スリッパーは自分の足元の地面を摩擦ゼロにした。しかし、能力が発動しない!

「…エナか!この能力は!奴は…!」

「そ、中立の立場なんだけどな。ちょっと貸しがあったからな。」

ルークはシャノンとメイプルに近づいた。

「さ、キミ達は俺と一緒に来るんだ」

「ま、まだだ!まだ終わってないぞ!」

スリッパーはあくまで戦う構えを崩さない。

「やめとけ、お前の能力なしの実力も認めない訳ではないが、俺に勝てないことが分からない奴じゃないだろ?」

「くっ!」

「本来はお前を捕らえて帰りたいとこでもあるんだが…人手が不足していてな。エナブルもそこまでは手伝ってくれないらしい。」

ルークは気絶しているシャノンを抱えると、その場を後にした。
「お前らが流れ星を探すのと同じで、俺たちも新しいメンタルパーツ所有者が現れたら対応するようにしてるんだ」

「…お前は見たことあるぞ!確かメンタルガードの…」

「そうだ。メンタルガードAクラス隊員、ルーク・ルーベンスだ。」

メイプルはそのルークと名乗る青年を見た。ロングTシャツにくたびれたジーンズ。髪の毛を逆立てて固めている。彼の格好から察するに、非番のところを引っ張り出されたのかもしれない、と思った。

「そこの少年達を渡して貰おうか。スリッパーさん。」

「…へぇ、わたしはそっちではそう呼ばれてるんだねぇ。」

「俺たちは特殊能力によってコードネームをつける。名前を教えてくれりゃあそっちで覚えるけど」

「いいよ、私はスリッパで」

自分を室内履きみたいに自嘲する彼女は、戦う構えをとった。

「どうするんだい?あんたの能力は私のとはあんま愛称良くないだろ?」

「知ってるよ。しかも女と戦うのは趣味じゃない。だから…」
「シャノン!お前だけでも逃げるんだ!」

「やだよ、メイプルも一緒に!」

「二人とも逃がさないに決まってるだろ。」

気がついたら、先ほどの女性がシャノンの背中にむかってジャンプキックをしていた。

「げほぁ!」

「うだうだしていつまでも低空飛行してるからそうなる。」

シャノンが地面に叩きつけられ、バウンドする。

「さ、あんたも大人しくついてくる気があれば、痛い目にはあわないよ」

「くっ…」

「逃げようにも私は地面を滑らせて転ばせられるし、もうじき仲間がこちらにくるから…おっ、ハンク!」

女性は遠くに見える仲間の姿に顔を少しゆるめた。が、急に顔を強ばらせた!

「ハンクじゃない!だ、誰だ!」