車が無い!
いま降りて、すぐ戻って来たのに
なんで!?
もういつ事切れるかしれない不調パソコンを前に
全力で今のPC事情を調べ上げ対処を考えないといけないこのときに
妙に天気が良い…。
この日を逃したら下手をするとそのまま梅雨に突入だ。
ということで愛車のハンドルを握って飛び出す。
昔は天気が良い日に家の中に居るなど
人生を棒に振っている気がして居ても立っても(立てないが…)いられなかったが
最近はそうでもない。
この主な楽しみにすら面倒くささが先立つこともある。
だから強いて自分を駆り立てて出かけた面もあった。
着いたのは隣県の大きな都市の駅近く。
ここに来たのは初めてではないが前回は20数年前だ。
駅こそ変わっていないが街も道路も大きく変わっている。
商業ビルに隣接する立体駐車場に車を入れる。
平日とはいえ1、2階は満車。次の階も空いているところは少なく
後続車もいるのでどんどんスロープを上がる。
5階まで来るとさすがに車もまばらで空いているスペースに停めた。
どこかに障害者用スペースがあるはずだが
案内も見当たらず駐車場の勝手もわからず探せなかった。
空いている階なら右ドア側に柱があったり右側が通路(車路)になる場所を選べて
右隣にぎりぎりに他人が車を停めるのを防ぐことができる。
一般駐車スペースだと隣の車の停め方次第ではドアを大きく開けられないので。
この階には(商業ビルとの)連絡通路はありません
エレベーターか階段で4階の連絡通路をご利用下さい
そういう表示があった。
車のドアに鍵をかけ駐車場内を歩きながら探すとエレベーターが見つかった。
そう広い駐車場ではないのだが真ん中あたりに自走用スロープやエレベータがあって
駐車場内全体は一望できない。
エレベーターで4階に降りて扉を出ようとしたとき
車内にマスクを忘れたことに気づく。
バッグの中に予備の個装のマスクは入れてあるのだが
車に置いたマスクの方が耳が痛くなりにくい。
そのまま5のボタンを押して5階に戻る。
車を置いてきた場所の記号、番号は控えていなかったが
いま来たばかりだから逆に歩いて行けば、ほらここに車が…
無い
ありゃ何か勘違いしたかな? 勝手の分からない駐車場だ。
駐車棟は「日」の字の形に車路が一方通行になっていて真ん中の線が上りのスロープと下りのスロープ(のようだ)。
もしかして置いたのは同じような構造のもう半分だったのでは?
次々と侵入してくる車に轢かれそうになりながら(笑)
場内を探して回っていると一周したのか元の場所に戻った。
駐車場はそう広くもない。
車が多いから見逃したか?
どんどん車が入るのかさっきよりかなり増えている。
もう一度じっくり一台一台、目を凝らしながら見て回る。
無い
また元の所に戻った!
なんで…
場所的にはちょうどここらあたりのはず。
右フェンダーの横に柱があって、
出る時、車とその柱の間を車いすでぎりぎりすり抜けたのだが…
気が付くとそういう場所に位置する柱が無い!
どこも同じに見えていた駐車フロア内だが構造が違うとなると…
置いたのはこの階ではなかったのか!?
てっきり5階に置いたと決め込んでいたが
実は6階に駐車したのだろうか? それしか考えられない…
エレベーターに戻り6のボタンを押す。
無い
まさかと思いながら2回巡回するが無い。
次第に混乱してくる。
認知症を発症し見当識障害を
自ら自覚させられるときはこんな気分を味わうのだろうか。
まてよ5階から降りたと思ったのは幻想ではなかったのか?
もしかしたら4階にこそ真実があるのではないか!
エレベーターに戻り4のボタンを押す。
必死で探し回るが当然
無い
いや、やはり最初に停めた5階以外に考えられない。
いま一度探してみようとエレベーターに戻り5のボタン。
祈るような気持ちで一回りするが…
無い

これは…
盗まれたのだ。
フロア内の片隅で機会をうかがっていたプロの窃盗団が
車いすでよたよたと降りる運転手を見かけて当分戻らないと目星をつけて…
鍵が無いのにどうして盗める?
プロだったら回路直結とかで始動などで何とでもするだろう…
駐車券が無いのにどうして出られる?
何か方法があるのだろう、プロだから…
6年もののポンコツ車なんか盗んでどうする?
金属価格高騰のおり水道メーターまで盗まれる時代だ…
これはもう警察届け出案件か?
いろいろ被害者聴取とか盗難届けとか面倒なことが山ほど控えていよう。
もしかして新聞に載ったりして…嫌だ嫌だ。
もう物見遊山どころではなくなった。
いやそれよりも…
車が無いのにどうやって家まで帰ろうか?
高速も使いながら家から2時間近くかけて来た場所だ。
タクシーなどで帰ろうものなら一財産失う。
一財産などもともと無いが。(汗)
駐車場内のトラブルだ、まずは管理事務所に行かねば。
事務所は2Fと表示があったのでエレベーターに戻り2を選ぶ。
「お忙しいところすみません! 置いたはずの車がなくなってしまって…」
青くなって訴える私に机から顔を上げた老管理人が私に聞く。
「何階に置かれたんですか?」
「5階です」
またか…というような顔をして管理人が放った次のひとことは
ここは「中5階もあるんですよね」。
・・・へ!?
一緒に行ってあげましょうという管理人とエレベーターに乗り込むと
行先階を選ぶボタンにはちゃんと「M5」(中5階)のボタンが!
何度も昇降したのに全く目に入らなかった。
ひとつ言い訳をすると
1、2、3、4、M5、5、6…と並んでいれば嫌でも目に入るがボタンは
1、2、3、4
M5、5、6…
と2列になっていた。
実はM5階に停めたのに5階だと勘違いし
5階の下は4階だと思い込んでいるから降りるボタンは4しか目に入らない。
上がるときも6階から降りる時も同様。
なんたる迂闊さ。見れども見えず。
中5階に行ってみると記憶にたがわず停めたと思しき位置に
我が愛車は涼しい顔で鎮座ましましていた。
商業棟への連絡通路に行くため再度エレベーターの前まで来ると
「ここはM5階です」と書かれたポケットに入れるような小さな紙片の束が下げてあった。
各階のエレベーター前に置いてあるようだが
これも全く目に入っていなかった。
「みんな結構間違うんだよね」
と老管理人。
車の場所が分からなくなった!と青くなって駆け込むのは
私だけではないらしい…
それがせめてもの救い。(汗)