9月11日、Web広告研究会が主催する「第16回WABフォーラム &第5回Webクリエーション・アウォード」の基調講演として、ディー・エヌ・エー(DeNA)の代表取締役社長である南場智子氏が登場した。同氏は、「モバイル広告市場の現状とDeNAの役割」と題して、同社の携帯電話向けコミュニティサービス「モバゲータウン」の状況などを語った。
南場氏は、調査機関による資料などを示しながら、インターネット広告市場全体に占めるモバイル広告の割合を1/10程度と語った。2011年のモバイル広告の市場規模が1,200億円強と予測されている点については、「保守的な数字では? もっともっと大きく成長するのではないか」と述べた。
携帯電話を使ったネット利用は、2005年末にパソコンを使ったネット利用者数を超えた。南場氏はさまざまな資料をあげながら携帯電話を使ったネット利用が飛躍している状況を説明した。
DeNAは、99年の創業当時、パソコン向けのWebサービスを中心とした企業だった。オークション&ショッピングサイト「ビッダーズ」などが中心となっていたが、2004年にモバイル向けサービスにシフトし、多数のユーザーを抱える非公式サイト「モバゲータウン」が登場することになる。
南場氏によれば、2007年に入ってから、モバイルにナショナルクライアント(全国展開する規模を持つ依頼主)の広告が入りはじめたという。これまでモバイル広告には、携帯電話の通信速度や画面サイズへの心配や、ユーザーが若年層に偏っているといったボトルネックがあった。
南場氏は、「ケータイ広告ってどうよ? と言われていた。しかしそれも3G端末の普及によって解決し始めた。パソコンより画面が小さい点も、その分ユーザーの注目が集中するメディアと言える。ヘビーユーザーが10~20代に偏っていると言われている点も、トレンドに敏感で世帯の中で購買決定を握っている場合がある」と反論した。いまや企業が携帯電話向けのWebサイトを持つことは常識になりつつあるとし、「モバイルがインターネット広告全体の 10%という状況はおそらくもう続かない。何年かかるかわからないが、モバイル広告がパソコン向け広告をやがて抜くと思う」と話した。
若年層を中心に人気を集める「モバゲータウン」については、まず2007年8月末までの状況を説明。会員数は689万人、月間ページビュー(PV)は142億1,200万とした。なお、9月11日時点では700万会員を突破しているという。
南場氏は、モバゲータウンのPVについて携帯サイトでは最大規模の数値ではないかと述べた。また、これまでの10代の中心のユーザー構成から、 20代の利用が急速に高まっていると説明。ただし、10代の利用者数は依然として圧倒的で、国勢調査では、15~19歳の全国民のうち3割以上が利用している結果が明らかになった。特に16歳の男子では、52.4%と半数以上に利用されている。こうした状況は、日本ではあまり例のないことだという。
「モバゲータウン」では、無料でゲームが楽しめるほか、自分のアバターを変身させたり、日記やSNSなどさまざまな使い方ができる。現在、 100以上のゲームタイトルが用意されており、日記の投稿数は1日平均で約56万回。サークルは約55万あり、掲示板への投稿も1日平均約290万回となっている。さらに、サイト内で自作の小説や詩、音楽の投稿も行なえる。
さまざまなコミュニティ機能を提供している「モバゲータウン」だが、若年層が多いこともあって、出会い系サイトにならないよう配慮されている。南場氏は「24時間365日パトロールしており、モバゲータウンでは実際に会ういわゆる“オフ会”を禁止している」と説明。モバゲーでは、会うことを目的としたサークルは削除されれ、掲示板の投稿でも会おうとするものは削除となる。あくまで携帯電話のネットサービスだけでの付き合いとなるのだ。
こうしたサービス展開を行なう背景として、南場氏は、モバイルの世界でYahoo!のような存在を目指していると語る。モバゲータウンは、パソコンにおけるYahoo!のようなポータル化を目標としているという。
また、さまざまな広告展開を行なっているとし、ゲーム連動広告やアバター連動広告、位置情報と連動した広告などを説明。圧倒的な集客力と多彩なコンテンツを背景に、南場氏は「生活に根ざしたマーケティングが行なえる」とアピールした。
前述したように、DeNAは1999年よりパソコン向けのオークション&ショッピングサイト「ビッダーズ」を展開している。南場氏は、当時の状況を「オークションにはYahoo!、ショッピングには楽天がいて大変苦戦した」と語り、創業から2002年までの4年間は赤字経営だったとした。
それがモバイルの世界では、今やNo.1と言っていい存在である。南場氏は、「2番手に慣れていたDeNAが初めて業界のリーダーになった」と語った。DeNAでは今、「業界のリーダーシップをどうやって発揮するんだろう?」と考えているという。南場氏は、「自分たちが儲かるということを超えて、業界のリーダーとして責任を果たしてみたい」と意気込みを語った。
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