これでいいのか?ベンチャーキャピタル | 平野敦士カールオフィシャルブログ「プラットフォーム戦略®経営講座★」Powered by Ameba

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(株)ネットストラテジー代表取締役アマゾン1位 プラットフォーム戦略他著書多数元興銀マンゆかし会員 

新規事業を創出することはどこの企業でも永遠の課題だと言えます


どんなに成長している企業であっても立ち止まることはすなわち

他の競合企業との比較において「後退」していることに他なりません


同じことをやっていて20年間もつ企業はまずないでしょう

ベンチャーでも上場後10年もつ企業は1割以下だと言われています


最近は時価総額が50億円を下回るような企業が増えてきましたが

果たして上場している意味があるのか疑問です


上場すると却って資金調達が難しくなってきているベンチャーもあるくらいで

ベンチャーキャピタルと証券会社の責任は上場までだとすると

かなりの悲劇だといえます


ただ決して上場すべきではないということではなく、本来上場して

伸びていく企業でもないのに無理やり上場させてしまうことが原因でしょう


VCの中には創業社長に○年以内に上場できない場合には株を買い戻せ

というような契約を平気でいれている会社もあります

そして上場後大量に売却するVCも多くあります


もちろん彼らの目的はそこまでなので当然といえば当然です

そう考えると企業サイドとしてはVCに対してはよくよく資本戦略を考えてから対応

すべきではないでしょうか


私が作ったVCはコーポレートVCだったので基本的には出資分だけを

売却によって回収して投資資金をスクエアにする方針でした

幸い4年間で10社以上上場したので含み益を入れると100億円は優に

超えることができましたがあくまでアライアンスの一環として

その企業とWINWINになることを目標としていました

もちろんアライアンスの目的が達成され双方の了解が取れた場合には

半分まで あるいはそれ以上売却という方針でした


VCが上場するとVCの株主とLPとのコンフリクトが問題になりますが

実はベンチャー企業にとって最も影響を与えている可能性があります

なんでも早く無理やり上場させて売り払うだけのVCなど存在価値が

あるのか多いに疑問です


やはり日本の経済を元気にするのはベンチャーに間違いないと思いますが

最近はM&Aすら減損会計やのれん償却による赤字転落に対する異常な

までの警戒感から本来なされるべき業界再編が起こりにくくなってきている

感じがします

会計士も村上ファンドやライブドア事件依頼以上にコンサバになっているので

なんでもかんでも損を計上させる雰囲気が出てしまったいることは

企業の成長 更には日本の国力すら弱めていく懸念があるのではないでしょうか


米国型のエンジェルを中心としたVCがじっくりとしかし厳しくハンズオンで

成長させていく方法を日本でも取れないのかと最近強く強く思うのです


おサイフケータイも新規事業それも社運を賭けての事業でした

幸い殆どのコンビニや大手小売がこれに対応していただけたことは

本当に嬉しく思いますが要はこれから本当に人々のライフスタイルに

変化をもたらし支持を得られるかだと思います


ドコモがクレジットになぜ参入したか??


最近色んな本がこれについて適当でいい加減な取材に基づいて書いていますが

本当のところは①リーダライターの普及 ②市場の牽引 ③新規事業としての収益の

確保の3つであり それまでのドコモの提携カードとはなんら関係はありません



すでに講演会では何十回もお話していますが岩田何がしさんがドコモが銀行を追い抜くとかいう本で書いているような理由は全くの誤りです

このような取材本が誤解を招くことに強い憤りを覚えますね


昨年のモバイルFeliCaビジネスガイドに掲載した原稿を以下記載します

ご参考までです


「モバイルFeliCaビジネスガイド2006」

P28-31


Part3 徹底解剖! 携帯3キャリアのモバイルFeliCa戦略


■タイトル

~クレジット事業、Suica電子マネーとの提携、新サービス「トルカ」まで~

ドコモのおサイフケータイのアライアンス戦略


■リード

昨年7月10日にNTTドコモがおサイフケータイ(iモード FeliCa)を市場投入してから早1年、普及台数は今年9月に600万契約に達した。今秋以降は、他キャリアへのサービスの広がりや、JR東日本の「モバイルSuica」がサービス開始を予定するなど、おサイフケータイの社会インフラ化はさらに進むと予想される。その一方で、新たな事業展開としてクレジット事業への参入を打ち出した同社に、最新のアライアンス戦略をご紹介いただいた。


■筆者名

株式会社NTTドコモ プロダクト&サービス本部

マルチメディアサービス部 アライアンス推進担当部長

 平野 敦士


■本文

9月に600万台を達成

年度内1,000万台はほぼ確実に


 2005年8月末現在、NTTドコモの契約数は約4,976万、このうちiモードの契約数は日本の人口の約1/3に相当する約4,500万契約に達しており、これは国内ブラウザフォンの市場シェア約6割に相当し、世界最大のISPと言える。

 そして、movaとFOMAを合計した累計販売数では、iモード FeliCa対応端末は約600万台、赤外線通信対応端末は約3,300万台、バーコード対応端末は約2,550万台に達している。なかでも「iモード FeliCa=おサイフケータイ」の普及は急速で、登場後13カ月で500万契約を突破、この9月には600万契約まで伸長している。これはiモードの普及スピードを上回る状況であり、すでにおサイフケータイは生活ツールであり、社会的なインフラとしての定着が進んでいると言えよう(図1:資料4)。

 当社はこれまで、携帯電話の新しい利用分野かつインフラを創造する戦略を展開してきた。当初、通信インフラとして音声需要を刺激・拡大、その後99年2月にiモードをスタートさせることで携帯電話のマルチメディア化を行いITインフラとしての進化・定着を推進した。そして昨年7月にFeliCaサービスを導入することにより、携帯電話が生活のあるゆるシーンで必須のツールとなる「生活インフラ」化という新たなステージに移行した。こうしてドコモは通信の世界からITの世界へ、さらには金融、マーケティングなど新たな世界への足がかりを持つことに成功した。


リアル連動ヘビーユーザーやリピーターも増加

“生活ツール化”の実情


 おサイフケータイを週1回以上利用するユーザーは実際に使用しているユーザーの58%、“週5回以上ほとんど毎日”というヘビーユーザーでさえ18%に及んでいる。さらに、おサイフケータイの対応サービスを3つ以上利用しているのは28%、2つ以上では51%となり、半数が複数のサービスを利用する状況にある(図2:資料18)。そして、今後の利用意向についても、「すごく使いたい」+「使いたい」ユーザーは93%を占めており、継続利用への意向は極めて高い傾向にある(図3:資料19)。

 すでに日本人の8割近くが、目覚まし用途に(削除)携帯電話を利用するといった調査結果もある。身近にある生活ツールであるケータイを利用するサービスやビジネスは、今後もさらに登場が活性化していくことであろう。(削除)

 こうしたサービスの拡大は、ケータイの機能面での拡充のみならず、ユーザー、事業者双方にメリットのあるビジネスモデルを提示できたからであろう。すなわち小銭がいらない利便性、ポイントやクーポンのようなユーザーメリットの提供はもちろん、事業者にもマーケティング、CRMツールとしてのおサイフケータイの導入メリットを明示できたことだ。さらにはセキュリティへの不安も利用経験により払拭できたことも寄与している。今後はクレジットカード会社との提携およびドコモ自らがクレジット事業への参入することにより、おサイフケータイを利用できる店舗数は飛躍的に拡大するものと思われ、それによりさらにユーザーの利便性の向上と新たな魅力的なサービスの登場が期待できる。


積極的なアライアンス展開で

新市場を続々と開拓


 iモードの進化は、高性能・高付加価値の携帯電話開発による縦の進化と、他の業態の多くの顧客を有する有力企業と双方にメリットのあるアライアンスを行うことにより新たな市場を創出する横の進化の二つの方向で推進してきた。横の進化については「リアルとバーチャルの融合」すなわち店舗や自動販売機、ゲーム機器等のリアルのプラットフォームを持つ企業との提携や出資を通じて、Iモードというインターネット(バーチャル)のプラットフォームを連携することにより新しい付加価値を生み出すこと事業を行ってきた。

 具体的には携帯電話のメディア化に対して、2000年にはiモード向けに広告を配信するディーツーコミュニケーションズを電通、NTTアドとともに設立。モバイル広告専業会社という世界初の事業展開を初め今やインターネット広告に欠かせない存在にまで成長した。

また同年には、Iモードのプラットフォームを豊かにする企業への支援、モバイルコンテンツ市場の成長促進のためにベンチャーキャピタルであるドコモ・ドットコムを設立した。既に6社が上場し多くの技術ベンチャーやコンテンツプロバイダーの支援を行っている


 2002年には日本コカ・コーラおよび伊藤忠商事とともに、東京・渋谷で実証実験を重ねてきた、iモード端末と対応自販機を利用した消費者向けサービス“Cmode(シーモード)”の全国展開に踏み切った。すでに40万人規模の会員を有しており、2004年のおサイフケータイ登場以降は、かざすだけでチャージや支払いができる自動販売機「シーモ2」と合わせて4,000台以上が設置されている。消費者と直接の双方向コニュニケーションを行う世界初の試みであったが極めて好評を得ており、良いロケーションが確保できることも寄与して、一般の自販機に対して約2倍の売り上げを示している。

 さらに2004年にはおサイフケータイの市場投入に向けて、FeliCa ICチップの開発や携帯電話向けデバイス・OSの開発・製造・販売に関するライセンス事業を担当するフェリカネットワークスを、ソニーとともに設立し後にJR東日本も参加した。

 20054月には、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、三井住友カード、三井住友銀行と当社の間で、携帯電話を活用したクレジットカード業務、すなわちおサイフケータイによる新クレジット決済サービス事業を共同で推進することを中心とする業務・資本提携に合意した。三井住友カードの発行済株式総数の34%に相当する普通株式を増資引受などにより約980億円で取得した。。

この発表を受けて、従来比較的おサイフケータイ対応に慎重な姿勢を見せていた大手クレジットカード会社や金融機関が一斉に積極姿勢に転換し、市場は一気に拡大する様相を見せてきている。

ドコモとしてはあくまでも他のカード会社にもオープンなプラットフォームを提供する予定であるが先ずは三井住友カードとともに市場を牽引することによりおサイフケータイを活用したクレジット市場の拡大を図るつもりである。

新規事業を行う場合のアライアンスにおいて極めて重要なのは、市場を創出し牽引できるブースターとしての最適なパートナーを見つけることができるか否かがであり、その際に双方にやる気、優秀な人材、豊富な資金のすべてが揃うことが必須の条件であると考えている。

 またJR東日本の「モバイルSuica」サービスが2006年1月にスタートするのを受けて、JR東日本、NTTドコモ、ソニーの3社はモバイルSuicaの導入と普及に向けて連携、“新しいビジネスやライフスタイルを創造し、社会の強力なインフラ基盤へと発展させていく”協力関係を表明した。具体的には Suicaとドコモの新クレジット決済用端末の共通端末化と複数のサービスの共通スイッチングセンターの構築検討を行うことで合意した。


マーケティングツールとしての

iモード FeliCa


 Sonyが開発した非接触ICチップFeliCaのメリットは、①かざすだけで簡単、②スピーディなデータ送信、③高いセキュリティにある。これと携帯電話が一体化することで、情報をディスプレイに表示するViewer機能、ネットワークを利用した定期券や電子マネーのオンラインチャージなどのダウンロードサービスへの対応が可能となった。 iモード FeliCaは現在、電子マネー/クレジット、各種ポイントサービス、チケット販売、交通乗車券、会員証の分野で、多数の企業とのアライアンスが始まっている(図4:資料13)。利用者の希望によって、望むサービスを該当のサイトから専用のアプリケーションをダウンロードして、携帯電話上のFeliCaチップに複数書き込むことが可能になっている。

 事業者にとっては従来のICカード発行コストの削減やカード送付にかかるコストの削減も可能になったのみならず、来店誘導や最新情報の提供がiモードのサイトやメールによって同時に実現できるようになった。

 

おサイフケータイは「リアル店舗マーケティングの救世主」

新サービス「トルカ」により効果的なマーケティングが可能に


 経済成長の鈍化、規制緩和による競争激化、インターネットの普及による事業者と顧客間の情報力の格差解消等により、事業者側としては顧客のニーズを如何に迅速に把握しフィードバックを自己のサービスや製品に反映できるかが持続的な成長・拡大を行うために益々重要になってきた。情報力のもちろん、サービス提供事業者にとってメリットがないと、この市場の持続的な成長・拡大は難しいだろう。リアルの店舗環境にあって、事業者メリットを提供するのが、おサイフケータイの新サービスとなる「トルカ(ToruCa)」である(9月14日に報道発表:図5報道資料Webより)。

 トルカは、おサイフケータイをリアルの店舗にあるリーダライタ(店頭などに設置している読み取り端末)にかざすことによって、これまで紙媒体を使って配布されていたクーポン券や店舗案内等のような情報を、その場で携帯電話の中に取り込むことが可能になる機能である。また、事前のiアプリのダウンロードは不要である。3キャリアに拡大したモバイルFeliCaにあって、トルカはドコモ独自のサービスとなっている。

 例えばCDショップでおサイフケータイを使って料金を支払う際に、店舗から配信されるクーポン券やオススメ曲の情報、アーティスト情報などを携帯電話内に取り込み、閲覧・管理することが可能になる。飲食店のクーポン券、集客力のある会場においての商品・キャンペーン告知、ゲームセンターにおけるトレーディングカードやアイテム、あるいはiアプリゲームとの連動などが想定されている。

 トルカはリーダライタにかざす以外に、iモードサイトからのダウンロードや添付メールからの取り込みにも対応している。また取得した情報は、対応端末間でメールなど通じて交換することもできる。利用料金は基本的に無料で、2005年冬に発売予定の端末から利用できるようになる。

 このような機能強化は、おサイフケータイがバーチャル店舗のみならず、リアル店舗におけるマーケティングの強力なツールに成長することを示している。


新ブランドによる

クレジット決済サービス事業


 おサイフケータイは、これまでほとんどが現金決済であった小額決済市場において、クレジット決済サービスの市場を創出する役割をも担っている。そこで、当社が三井住友カードに34%資本参加してスタートする、おサイフケータイによる新クレジット決済サービス事業においては、ドコモ自らも市場を牽引すべくイシュアとして参画。携帯電話を活用した非接触ICでのクレジット決済サービスを、「DoCoMo」や「VISA」でもない、新しいブランドとして構築する計画である(図6:資料21)。

 当社では、おサイフケータイと金融の連動により、新たなマーケットが創出されると見ている。それは、①複数枚所有でスリーピングが避けられないカードに対して、生活ツールの“ケータイ”利用でファーストカード化が可能、②カードの発行コストが削減される、③クレジットカード類を保有しにくい若年層等の取り込みが、携帯電話と同世代の親和性もあってさらに加速する、④カードに比べてCRMが展開しやすい、⑤店舗オペレーションコスト、特にATMの設置台数の削減が可能となる、⑥ATMのFeliCaICカード化(おサイフケータイならかざすだけでキャッシングなどが完了する)――のように、カードにはない携帯電話利用による“ならでは”の新しいサービス提供が可能になるため、クレジットカード事業が通信業以外の新たな収益の確保につながるとの判断からだ。ドコモ自体がクレジットカード会社となり、小額決済市場を創出する決意である。つまり、現在の現金利用を、抵抗感の小さいおサイフケータイによるクレジット決済へと移行を図り、キャッシングやリボ利用も取り込んでいくというシナリオである。

 さらに、この提携によって数十万台規模でリーダライタが普及することにより、おサイフケータイが使用できるチャンスもまた拡大することが見込まれる。電子マネーのみならず社員証や会員証、住宅の鍵、交通機関の乗車券等を生活のあらゆるシーンに対応すれば、利用者の利便性向上はもちろん、事業者にとっても売上増進およびコストダウン等のメリットが生まれ、マーケットはさらに拡大していくことが期待できる。

 そして、この新ブランドは電子マネーSuicaとの連携も謳っている。問題は共通インフラの整備だが、Suicaと新ブランド双方に対応したリーダライタと、接続先の共通利用センター(仮称)を整備することで、1台のリーダライタで双方に対応する環境を整備する計画である(図7:資料22)。現在Suicaのみならず、Edy、QuickPay、Smartplusなど多様な決済サービスが登場している。端末の共通化は市場拡大につながるが、逆に機能を集約すると価格が上がる分、普及が進まないというリスクがある。そこで「市場のニーズにあわせて開発すべき」を基本スタンスに、この共通利用センターが、他の決済サービスとの連携も図るとの位置づけである。なお、チャージ方式はプリペイド(前払い)のみならず、ポストペイ(後払い)、オートチャージなどさまざまなバリエーションが想定されている。

 新ブランドの詳細は2007年度の春ごろの発表を予定しているが、コンセプトとして、“簡単に後払いができる、使いやすいポストペイ”の展開を掲げている。

 また、当社とJR東日本、NTTデータの3社は、Suica普及促進のための組合をそれぞれ4億円を出資して設立することに合意している(図8:資料24)。実は、ドコモではこれまでも、FeliCaを導入したいが初期投資や技術的な標準化への不安などから導入に踏み切れない企業に対して、その普及スキームとしてFeliCa導入の際にリーダライタに関わる費用をドコモが提供。導入後、利用度に応じた手数料(固定%)を受領する仕組みを提供してきている。この組合も同様の考え方で、Suica電子マネーの導入を検討している企業に、組合が端末費や後方システム改修費などの初期投資資金を提供、導入後はSuica電子マネーの決済額に応じた手数料で回収を図るというスキームである。つまり利用頻度が上がれば上がるほど、組合に収益がもたらさせるわけで、自信がなければできない仕組みであろう。

 いずれにしても、お客さまが情報を持つ時代にあって「成功するサービス」の要件とは、「顔(Face=Fun、Anywhere、Convenient、Easy:楽しく、どこでも・いつでも、便利でお得、誰でも簡単に)のあるサービス」であること。そのための最適なツールこそがおサイフケータイである、と当社では自負している。

(本稿は2005年9月15日に行われた弊社主催「ICカード先端セミナー」の講演内容からの抜粋である)