もぁらすの遊び場 -24ページ目




「そんな告白いらねえんだよ」



凄んだ大谷の目は真っ赤。



「告白じゃなくてさ、頂戴よ。田村」



その瞬間、大谷の拳が腹に飛んできた。


ごふっ、と背中を丸めて前のめりになる。



「何かっこつけてんだよ、今の本気じゃねーから、外出ろよ。長嶺さん」


「外出ろよなんて言う奴いたんだ」



イッテェ。

マジで入れやがって。




「実花がどうのこうのじゃねーから、わかってますよね?」



お前、振られたくせにかっこ悪いぞ、と言いそうになったけど、

俺が横槍入れたせいだから何も言えない。



この自分の事を棚上げして俺に殴りかかれる自己中なところ、憧れるわ。



その後、抜け出して外で本気のパンチがみぞおちに入って、

酒を全部吐き出した。


手加減しろよ。


俺が吐いているのを見て、ちっとも申し訳なさそうに「今度はそっちが奪われる側なんで、隙あらばガンガン行きますから」と、宴の席に戻っていった。


冗談じゃない。


とてもじゃないが、店に戻る状態でもなく、


タクシーを拾って帰宅した。




翌日の展示会。


あのままぶっ倒れて寝て、トラの餌やって風呂入って、会社についたものの


身体全体が鈍痛につつまれ、腹は痛いし、内出血してるし。


でも、そのくらいの方が気が楽だった。



展示会で田村とすれ違うたび、かすかに香るその香りに何度も気をとられた。



話すタイミングが見つけられず、日中の商談が落ち着いた頃にはもう、田村の姿を見失ってしまっていた。



翌日、歳なのか、昨日よりも身体が痛い。



だんだんと大谷にムカついてきて、なんで俺あいつに殴らせたんだ?

と、自分にも腹がたってきた。



今日こそは、田村に鍵を渡そう。と、意気込むものの、片桐さんに絡まれているうちに、またもや田村を見失う。



そんな風に、行き違いは翌週まで続いた。



電話をするにも、大谷打撲が日々追うごとにダメージを主張してきて、万全を期せない。



すぐ歩けば、近くにいるのに。


でも、こんな腹も見せれない(上手くいく前提の下心が俺を邪魔する)





そして、週が明けた。


田村は店回りが多いのか、本社には姿を現さない。



だから、油断していた。




突然、コンビニの出入り口で田村に遭遇した時は、


あまりにも業務的な田村の「お疲れ様」の声に、そのまま声をかけそびれた。



そして意を決し、不在通知の郵便を受け取る大義名分を片手に、コンビニから出てくる田村を待ち伏せする。




そもそも、この後に及んでまだ、信じられなかった。




大谷に、騙されてるんじゃ、と思った。


あの、憎しみに満ちた瞳は、悪態をつきかねない。


俺を騙して、おとし入れそうだ。



さっきの「お疲れ様です」なんて、嫌悪感すら感じた。



 

やはり、時間が経ち過ぎたのか、



俺がひどいことを言ったから、




もう、手遅れなのかもしれない気がする。