郵便物を受け取ると、外に出た。
見計らったつもりはなかったのに、ちょうど田村がその場にやってきて鉢合わせた。
「……」
互いに言葉がでず、変な間ができる。
しばらくして、
「さ、寒いですよね」
他人行儀な田村の言葉に、胸が騒ついた。
目の前の交差点の信号が変わるまで、二人肩を並べる。
「ああ」
「でも、寒くなって良かった。コートの売上が上がってきてホッとして──」
しきりに仕事の話をしようとしている田村の声が、
頭に響く。
心が、見えない。
こちらを見ている田村の方を見たけど、自分だけが見透かされているような気になって、そちらを向けなかった。
信号が、青に変わる。
「もう、仕事の話なんてしたくないですよね、帰宅途中ですし」
微かに田村の声が震えていて、
気温が下がっているからか、と足早に横断歩道を渡ろうとする。
「まだまだ、秋の負けの分は取り返すの大変だろ」
俺が言うと、田村の姿は横になかった。
足をとめて、
横断歩道の真ん中に田村が立ちすくんでいる。
俺が振り向いたと同時に、
信号が点滅をはじめた。
「田村、なにやって──」
「わ、忘れ物したので!お先に、どうぞ!」
ああ、もう
俺と並んで帰ることも
田村は望んでいないんじゃないか