「……寒い、です」
熱に浮かれ、寒さを忘れていた俺を現実に戻す言葉がした。
「ごめん」
繋がった唇の隙間から、気遣いが出来ていなかったことに対して謝罪を漏らした。
そうだよ、こんなところでがっついて。
性欲旺盛な十代の野郎じゃああるまいし。
でも、その俺の盛り上がりとは反し
田村は落ち着いている。
やっぱりどうしても、俺の気持ちのほうが大きいのか。
でも、そんなことは今に始まったことじゃない。
慣れてる、なんて。情けないけど。
いまさら――
「……うちに、入りませんか?」
田村がそう言った瞬間、体が固まった。
と、いうか、反射的に俺の脳裏に大谷の顔が浮かぶ。
「……あの、……嫌なら」
「いや、そうじゃなくて」
嫌、?
ああ、そうじゃない。
「じゃあ……」
そう簡単に言った田村の横顔を眺める。
確かに外は、寒かった。
けれど、俺の身体はカッっと熱くなっていて、
瞬時にあらぬことを思い浮かべた。
ここで、田村はずっと大谷を迎えいれていたわけで、
そんな場所に足を踏み入れるということが、何を連想させるかと――
「先輩?」
玄関のドアを開け、なかなか入らない俺を不思議そうに田村が眺める。
「――あ、ああ。お邪魔す――」
意識が散乱していて、慌てて足を踏み出した瞬間に入口にいた田村にぶつかった。
「あ、ごめ」
ん、といったと同時に、ふらついた田村の身体を後ろから抱きかかえた。
『大谷に、ここで抱かれてたわけ?』
思わずそう言いかけて言葉を飲み込む。
それはお互い様で、こうなるまでに何年もの月日がたっているのだからしょうがない事とはいえ、
今すぐこの身体に上書きしたくなって、回した腕に力を込める。
「せ、先輩?」
外の空気が入れ替わった玄関は寒くて、
田村の体温が優しく伝わる。
この場で、我慢の足らない自分の至らなさには、参る、ほんと