もぁらすの遊び場 -19ページ目



もう、ダメかと思ってた。



もう、この人に触れることは二度と出来ないんだとそう思っていたから、



重なり合った唇から熱が伝わった瞬間、息が出来ないくらい苦しくなって、


まだ、ズキズキと疼いている胸の痛みに気がつかないフリをした。



「……ぱい、先輩」



寒空の下で、ずっと抱き合っていたからか、身体は互いに冷たくなっていて、


私は離れようと胸の隙間の手に力を込める。



それでも先輩の力は弱まることがなくて、その幸せの中で浸りながら、


必死に不安を打ち消した。



好きだと言われたからって、浮かれる訳にはいかない。



付き合おう、って、言われた訳じゃない。



ただ、先輩が戻って来てくれたことは嬉しいけれど、状況はなにも改善されていない。



「……寒い、です」



繋がった唇の隙間から、やっとその言葉を出して身体の隙間が開いた。



「ごめん」



ああ、またごめんだ。


先輩の口からこの言葉を聞くたび、胸がちぎれそうになるくらい、痛む。


謝られるたび、お前は二番目の女だ、って言われている気がして、また泣いてしまいそうになる。


それでも、私は長嶺先輩が好きで


そうしてまでも、まだ


一緒に居たいと願ってしまう。



「……うちに、入りませんか?」



私がそう提案すると、長嶺先輩は少し躊躇したように見えた。




「……あの、……嫌なら」



「いや、そうじゃなくて」



そうじゃ、なくて? 


本当に寒くて、私は身震いをした。





「じゃあ……」



寒くて、空気が澄んでいる。


その空気を吸い込むと、


先ほどまでの熱は何処かに消えたように感じ、私の心までもが急激に冷やされたようにも思えた。



私は、惑わされているんだろうか。


初めてのようなこの恋の熱に浮かれて、身体の中から警戒音が鳴っているような気がする。




それでもかまわない。


それでも、長嶺先輩から




離れたくなかった。