キスからその先は。-7- | もぁらすの遊び場

 

 

酒が入ってるから、っていうのは理由にはならない。

 

 

 

何故なら、俺はザルだから。

 

 

 

 

ただ、田村が一緒の酒の席だったからか、酔ってしまいたい衝動に駆られた。

 

 

 

だから、自己暗示で酔った気分。

 

 

 

 

 

田村が大谷のことなんか好きになるはずがない、という願望もどっかにあったんだろう。

 

 

だって、俺が宮崎に負けたんだから、大谷だってそうであるべきだ、って

 

 

 

 

 

わかってる、負け惜しみなのは。

 

 

大谷なんかに取られるくらいなら、俺が先に、なんて、ずっと思ってた。本当は、

 

 

考えないように、逃げてただけ。

 

 

 

だからつい、何度も口にしてしまう。

 

 

 


「田村って、好きそうには見えない相手といつも付き合ってるけどどういうつもり?」

 

 

当てつけだ、ってわかってる。

 

 

でも、「そうなんです、誰の事も好きになれなくて」って答えを期待してしまう、小さい男なんだ。

 

 


「好きじゃない……って」



「俺の時もそうだっただろ?」



つい口が滑って、嫌味まで混じる始末。

 

そして、「好きでしたよ」なんて答えまで期待してしまうもんだから

 

 

 

黙ってしまった田村を見たら、一気に酔った気分もさめた。

 

 

 

 

 

 




「そんなこと、長嶺さんだって同じじゃないですか」


そして、怒った顔の田村も可愛い。なんて見とれていたら、

 

 

 

・・・・・・・俺?

 

 

ああ、夏美の事?

 

 

 

だって、夏見は・・・・・・

 

 

 

 



「だいたい、長嶺さんのせいですから」

 

そう考えていたら、続けて田村が頬を膨らませて言った。

 

 

 

 



「──俺の?」



「そうですよ」



「俺の、何が?」



「長嶺さんが、私を抱きそこねるから……」
 

 

 

 

 

驚いた。

 

 

沈んでいた気持ちが浮上してきて、一気に調子付いた。

 

 

 




「じゃあ、もう一度試してみる?」


 

 

試すふりをして、一度でも抱いたら、

 

 

 

 

 

 

きっと、田村を手放すのほもう、無理なんだと。

 

 

 

 

 

 

 

この時は、そう思っていた。