今年の干支は辰ですね。寅年の時は白虎のことを書いたので、今回は「青龍(せいりゅう)」のことを書こうと思う。

「青龍」は中国の伝説上の神獣で、東西南北を守護する四神の一体とされる。「青龍」は東方を守護し、五行説では木の属性に置かれ、土地では川、季節は春を司ることから、俳句では春の季語とされる。

春に現れ、春分に天へ昇り、秋になると淵に入るという。

草木の緑や、明け方の清らかな大気を象徴し、春の生命の息吹をするという。こういったことから「青春」の語源になった、といわれている。

「蒼龍」という別名で呼ばれることもある。

細身で体色は緑で鱗があり、足は4本で爪は3本、長い舌を出しているという。雲や風など自然現象を司ることから、農民から信仰された。

好物はツバメと空青(アズライト)、苦手なものは鉄、笹の葉、ムカデ、五色の糸といわられている。

昔の人は海に鉄を落とすと、龍神様の怒りに触れる、と恐れたという。また、龍にお供えものを横取りされないように笹の葉で包んで五色の糸で巻いたのが、チマキの始まりとされる。

五行思想では、力強いうえ逆境を乗り越える力を象徴しており、成功や繁栄をもたらすとされる。

十二神将の一体にも数えられている。

また、太陽が昇る東を守護することから、成長、出世といった運気に影響をもたらすとされ、東の方角に龍の置物を置くことで、物事を発展させるエネルギーをもたらしてくれるという。

目標達成、仕事運の向上、家族円満、健康増進などの効果が期待され、中国の皇帝や王侯によって幸運を呼ぶアイテムとして、像や絵が飾られた。

中国三大宗教のひとつ、道教では、青龍帝君孟章として擬人化され、龍の始祖とされている。


古代中国では、国の繁栄と安定を願い、「青龍」という年号が幾度か存在したという。


日本に伝わったのは5〜6世紀頃とされ、天皇の象徴とされる。


平安後期の説話集「今昔物語集」では、聖徳太子が瞑想していた時、「青龍」が聖徳太子の魂を乗せて中国に渡り、仏教の経典を受け取った、という話がある。


風水では河川を司ることから、ゲームなどでは水属性や風属性に置かれることが多い。本来は木属性である。


京都の平安京は五行思想に基づいて造られている。麒麟が司る中央に天皇を置いて、北の舟岡山が玄武、南の巨椋池が朱雀、西の山陰道が白虎、東の鴨川を「青龍」とした。


四神に守られている京都は、災害が少ない、と言われている。台風もめったに直撃しないという。


京都の八坂神社の本殿の下には大きな池があり、「青龍」が棲んでいるとされる。大和の「気」が貯まる龍穴があり、開運に効果があるとされる。八坂神社では「青龍石」を授かることができる。


日本の神社や寺を巡っていると、色々なところで「青龍」の彫刻を目にする。山号を「青竜山」とするお寺もあちこちにある。


「妖怪ウォッチ」ではSランクで、映画「シャドウサイド」でも活躍していた。


三国志に登場する武将、関羽が使用している武器「青龍偃月刀」の名称にも使われている。


「青龍」という名前から、青く塗られることが多いが本来の色は、青山や青林のような植物の緑だという。