今年の干支は亥でしたね。

 
猪と縁のある神社仏閣というと、京都の護王神社が有名で、狛猪が建っている。
 
その他にも、兵庫の岡太神社や京都の建仁寺禅居庵、本法寺でも狛猪を見ることができる。
 
建仁寺と本法寺で祀られているのは「摩利支天」である。
 
「摩利支天」は、仏教の守護神であり、元々はバラモン教の神マリーチとされる。
 
陽炎を神格化したもので、原語は太陽や月の光線を意味する。陽炎には実体がなく、捉えることができず、焼けず、濡らせず、傷つかない。

「摩利支天」は、非常に素早く人に知られずに障碍を取り除くといわれ、阿修羅と戦って日や月を守ったという神話も残る。これらの特性から、日本では守護神として武士たちに信仰されてきた。
 
楠木正成、毛利元就、立花道雪、山本勘助、前田利家、立花宗茂が「摩利支天」を信仰していたという。
 
元々は手に天扇を持つ女神像だったが、武将に好まれたことで、いつの間にか、男神像とされることが多くなった。月と猪に乗る姿で、護身や蓄財などの神とされた。
 
お稲荷さんで有名な赤坂見附の豊川稲荷東京別院の境内には、猪に乗った女神姿の「摩利支天像」があった。

先日、上野のアメ横にある徳大寺に行ってきた。ここで祀られている「摩利支天」は、左手をかかげ、右手に剣を持ち、猪の上に立つ、というが、普段は非公開である。
 
厄を除き運を開く勝利の守護神とされ、この「摩利支天像」は、関東大震災、東京大空襲でも消失を免れたという。
 
いつだったか、北条氏の居城、小田原城に行ったとき、天守最上階に「摩利支天」の像が祀られていた。