唐傘小僧(からかさこぞう)は、傘お化けや化け傘など、色々な呼び方が残っているが、その姿はほとんど、唐傘が一つ目で一本足で舌をベロンと出しているものである。両手があるやつも見たことあるが、大概は一本足でぴょんぴょん跳ねている。

唐傘とは、紙と竹で作った昔の傘のこと。子供の頃、我が家の玄関に唐傘が飾られていた。妖怪好きだった私は、この唐傘がいつか「唐傘小僧」になって動き出すのでは、とわくわくしていた。

そもそも唐傘小僧は、古くて長年使われていない物が動き出す「付喪神(ツクモガミ)」の一種であり、他の妖怪と違って伝承はほとんど残されていない。

新潟のカラカサバケモン、愛媛の雨傘、鳥取の幽霊傘、これらが「唐傘小僧」と同類とされるが、詳しいことはわかっていない。

にもかかわらず、お化け屋敷では常連であり、子供たちの間では有名人だ。

「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメでは、傘の部分を回転させ空を飛んでいた。鬼太郎を足につかまらせ、電気妖怪と闘った。

原作では鬼太郎のチャンチャンコを奪い、一つ目から光線をだして攻撃していた。

時と場合によって、両手があったりなかったり。

小田仁二郎の小説「からかさ神」では、山奥の里で神として祀られていた。

何か「唐傘小僧」に関係するものはないか、と物置をあさっていたら、兄が小学生のときに板で作った「唐傘小僧」を見つけた。 なかなか完成度が高い。

私が子供の頃、好きだった「ゲゲゲの鬼太郎」のぬりえを見てみると、兄が勝手に塗った「唐傘小僧」があった。どうやら兄は「唐傘小僧」好きだったようだ。

とっくに捨てられた、と思っていた唐傘が下駄箱の中から出てきたときは、思わず大興奮。

と同時にちょっぴりがっかり。

何十年も放置されて「唐傘小僧」になってどっか行っちゃった、という子供の夢が、くずれた瞬間でもあった。

「唐傘小僧」は、物も大切に敬え、という戒めが生んだ妖怪なのだろう。


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