7月14日~28日、愛知県体育館開催の大相撲名古屋場所は、横綱・照ノ富士が12勝3敗からの決定戦で前頭六枚目・隆の勝を破り、3場所ぶり10回目の優勝でした。

 

 

決定戦でV10達成

 

 

 照ノ富士は初場所以来の15日間完走。

 場所前、「これ以上情けない姿をさらせない」 とコメントしたので、また途中休場になったら引退ということなのか、それとも好調のあらわれなのかと思ったら、土俵にさえ立てれば負けないという自信だったようです。

 

 優勝回数は、かねて目標と言っていた10の大台に乗せました。それを達成した今後は、と問われ、「理想の相撲に近づけたのでそれを極めたい」 とのこと。まさかの決定戦もつれ込みにも、

「今まで何度もこういう一番があった」 と修羅場をくぐってきた経験も頼もしい。

 

 初日から10連勝。13日目には優勝が決まろうかという横綱の勢いを止めたのは、平幕の隆の勝と美(ちゅら)ノ海でした。

 とくに隆の勝は終盤8連勝、十四日目に照ノ富士に勝ち、千秋楽でも大の里を堂々破っての決定戦進出。その決定戦も良い取りっぷりで、一瞬勝つかと思ったほど。

 

 隆の勝といえば、きょうだいが多く、ギャルっぽい姉妹からクマのぬいぐるみと言われてたのが印象深い(笑)。3年前は関脇で勝ち越した実力者です。来場所は三役に戻れそう。

 

 大関・豊昇龍は優勝争いに残りながら、右股内転筋を痛め十三日目から休場。序盤から星を落とすもったいなさも既視感あり。

 カド番の貴景勝は元気なく5勝10敗、大関陥落になってしまいました。先に陥落した霧島は3連勝スタートも、勝ち越すのがやっと。ふたりに共通するのは頸椎のケガです。

 

 プロレスラーでもハヤブサとか星川尚浩、高山善廣に、去年は大谷晋二郎も頚椎損傷で半身不随になってしまいました。首は怖いです。そんななか、炎鵬がやはり脊髄の深刻なケガから七場所ぶりに復帰し、序の口で6勝1敗でした。

 

 ケガといえば、前頭三枚目の高安が左胸筋、五枚目の阿武咲(おうのしょう)が右足首、十二枚目の朝乃山が左膝靭帯の故障で途中休場と、深刻な負傷者が続出しました。

 

 とくに先々場所優勝の尊富士は、十両二枚目から途中出場したものの、たった二日で今度は左大胸筋断裂。またしても長期休場を強いられています。公傷制度復活の意見が出るのもむべなるかな。せめて幕内経験者はいくら落ちても幕下までとか、救済措置があってもいいのにな、と思うのですが。

 

 先場所初優勝し、今場所次第では大関も、の呼び声があった大の里は序盤から負けが込んで9勝6敗。ふたケタに届かなかったのは痛い。でも今年中には大関になるはずです。

 

 大の里の良きライバルになってほしい伯桜鵬は、十両十三枚目から11勝4敗。左肩手術からやっと痛々しいバンテージが取れ、これから本領発揮となるでしょう。来月やっと21歳の若さだし、宮城野部屋が伊勢ヶ濱部屋と合併してる今、照ノ富士と稽古できるのは大きい。‟大伯時代” を本気で期待してます。

 

 テレビ中継で最後に可笑しかったのは、優勝決定戦を制した照ノ富士がいったん支度部屋に引き揚げるさい、長身の背広男性が照ノ富士にチークキスで祝福したのを見た実況の佐藤洋之アナが 「今のは...?!」 と絶句。解説の音羽山親方(鶴竜)が 「宮城野親方(白鵬)ですね。取組前にアドバイスしたんでしょう」 とあっさり応えたシーン。習慣の違いですなぁ(笑)。

 

 なお、会場の愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)での名古屋場所は今回かぎり、来年からは新しい ‟IGアリーナ” での開催になります。収容17000人ですって。デカっ。ネーミングライツの ‟IG” とはイギリスの証券会社だそうです。

 

 

 毎度取りとめなしな名古屋場所の感想でした。