*今回の設定は完全にフィクションです。

 

 

 東京都新宿区のとある雑居ビルには 「月刊スイーツスポーツ」 のオフィスが入っています。

 

 看板雑誌(?)のひとつ 「月刊スイーツベースボール」 の編集部では、オールスターゲームに向けて前半戦も終盤だというのに、いつものようにダラダラとランチタイムを摂りながら、雑誌に書かない本音トークに興じているようです......

 

 

座談会出席者:

あかふく😾 … 「月刊スイーツベースボール」 編集長

くずきり🐨 … スポーツライター,MLBを中心に取材

やつはし🐶 … 記者,現場担当

うぐいす🐔 … 記者,フロント担当

 

 

  

 

お弁当 新聞 タバコ

 

 あかふく😾 「7月だなぁ~あせる 6月21日に遅い梅雨入りのあと、あまり雨がなく真夏の陽気になったと思ったら、もっと暑さが本気出してきた感じだ。プロ野球では3週間全18試合にわたる交流戦が終わり、7月23日のオールスターゲームに向けて前半戦のヤマ場だな」

 

 うぐいす🐔 「交流戦で明暗分かれるかと思ったら、あまり風景が変わりませんでしたね。楽天イーグルスが13勝5敗で飛ばしたのは驚きでしたけど、だいたい現状の実力どおりというか、星を喰いあうダンゴ状態で。西武だけはカヤの外でしたが(一同・苦笑)」

 

 くずきり🐨 「交流戦では日ハムの水谷 瞬ってニュースターが登場しましたね。石見智翠館高出身の6年目。ナイジェリア人の父を持ち、193cmの俊足好打選手なんですけど、ソフトバンクではまったく出番がなく、昨年の現役ドラフトで日ハムに入団。4月に一軍デビューしたら、18試合で28安打3本塁打の活躍。交流戦MVPを受賞です」

 

 やつはし🐶 「清宮幸太郎や野村ジェームスが不振だのケガだのでモタついてるあいだにすっかり主力に躍り出ましたね。でも水谷が活躍しても日ハムは大失速。交流戦7勝10敗1分のあと、6月28~30日のソフトバンク戦には完敗3タテで、とうとう最大9あった貯金がゼロですよぉ(一同・苦笑)」

 

 あかふく😾 「ソフトバンクは強すぎだなぁ。正直、痛々しいくらいレベル差があるエスコンでの3連戦だった。とくに近藤健介が驚異的だ。ここまで71試合で .355 13本塁打、このまま優勝したら文句なしMVPだな。171cmと小柄なのに去年もホームラン王獲ってるし(26本)、31歳になる今季は脂が乗りきってる」

 

 くずきり🐨 「小柄でのフルスイングだけに、腰とか脇腹とか故障が多いのが唯一の心配ですね。ヘルニアで離脱した日ハム時代の2017年、57試合231打席で .413 をマークしてます。四球も多いからOPS(長打率+出塁率)も 1.0 越え。現役最強打者と言っていいんじゃないでしょうか」

 

 うぐいす🐔 「この様子だと、セリーグは優勝しても日本シリーズでソフトバンクには勝ち目ゼロなくらい実力差がありますねぇ。3連覇中のオリックスは早々に自力優勝が消滅しましたけど、2位ロッテとのゲーム差が 11.5 もあるんですからしょうがないです」

 

 あかふく😾 「そのセリーグは、6チームが7ゲーム差以内という例年にない混戦だ。広島が少し抜けてきたかな。6月7日のロッテ戦で大瀬良大地がノーヒットノーランやって勢い出てきた。打線でも末包昇大や宇草孔基など、長打力のある中堅が伸してきて野手層が厚い。末包は残念ながら左もも肉離れしてしまったが」

 

 やつはし🐶 「逆に阪神は打線がぜんぜんですねぇ。岡田監督がイラ立ちを隠さなくなってきました。佐藤輝明や大山悠輔を再調整で2軍落ちさせるなど、懲罰的というか岡田監督らしいというか。それでも勝率五割は保ってるのに、あんなスポーツマスコミを通じて選手批判してたら前と同じくチームが壊れますよ」

 

 うぐいす🐔 「6月といえば、例年調子を上げてくる大谷翔平が、ドジャース初年の今季もすごかったですねぇ。.330 で迎えた6月、10日までは1本塁打で .310 まで下がってむしろ不調気味だったんですけどそこからがすごかった。12日から17試合で11本塁打ですよ。ここまで26本でナショナルリーグトップです」

 

 くずきり🐨 「はい。5月16日のレッズ戦で1塁牽制球が左もも裏に当たったじゃないですか。その打撲がけっこう重かったようで全力疾走できないほどでしたから、それがなかったら6月は頭からアンストッパブルだったでしょうね。しかも5月からは投球練習を再開してます。手術したのって去年の9月19日ですよ~」

 

 やつはし🐶 「もうマウンドから正規の60ftを、一度の練習で60~70球投げてるそうですね。速球は130km以上出てるとか。さすがにポストシーズンでの登板はないとチームが早々に否定してましたが、人間とは思えない回復力ですねぇ」

 

 あかふく😾 「試合だから運もあるけど、ケガだけは心配だよなぁ。同僚のムーキー・ベッツは6月16日に左手死球で骨折。山本由伸は右肩腱板損傷で長期離脱だ。よそではアトランタのロベルト・アクーニャJrが左膝前十字靭帯断裂の重症、フィラデルフィアのブライス・ハーパーも左腿筋負傷と、リーグを代表するスターの大ケガが続出してる」

 

 くずきり🐨 「こと投手については、ランナーなしでは15秒以内に投球動作というピッチクロックが議論の的です。大谷選手やダルビッシュなど、短時間で投球するとリカバリー面での負担増を懸念する一方、MLB機構に資料を提出したジョン・ホプキンス大は、故障のいちばんの要因にスピンレートの上昇を指摘してます」

 

 うぐいす🐔 「ええと、ボールの回転効率のことですね。シンプルなストレートが、フォーシームやツーシームなどカットをかけることでスピードを増し、打球が飛ばなくなるという。今季故障したガーディアンズのシェーン・ビーバーはピッチクロックのせいではなく、そうした投球法によるヒジへの負担を挙げていました」

 

 あかふく😾 「選手の感覚と客観的、医科学的なデータの論争だから折り合いをつけるのは難しいだろうな。投手の故障については、少年野球の段階からすでに増加する一方だと聞く。これは時間をかけて傾向を調査分析していくしかなさそうだけど、良い投手は球界全体の財産だから、もっともケガを防ぐことのできる方向性を望みたい。それじゃそろそろ仕事に戻るぞぉ」