本日は、バリバリの文系にして理数ぱぁ~(◎o◎)のわたくし みつまめ、科学に挑むの巻でございます🌔

 

 今回は、「ムペンバ現象」 を特集しましょうOK

 

 

 1963年、タンザニアの中学生エラスト・ムペンバ君は、理科の実験でミルクアイスクリームを作っていて、熱いまま撹拌機に入れた自分のほうが、原液が冷めるまで待った級友より早く出来たことに気づきました。

 

 同じ状況下で高温の水と低温の水を冷やした場合、高温の水の方が早く凍る-彼は国内の名門ダラエスサラーム大に進んで研究を続け、1969年に論文 「COOL?」 を発表。

 

 実はアリストテレスの古代ギリシャから知られていたというこの不思議。本邦では2008年7月にNHK 「ためしてガッテン」 で、「常識逆転! お湯は水より早く凍る 驚きの氷早作り技」 として特集されています。

 

 ところが、これはあくまで 「特定の状況下では高温のほうが早く凍ることもある」 という例外現象に過ぎず、「お湯は水より早く凍る」 と科学法則のごとき断言は大失態でした。

 

 ではどんな例外現象なのか。長年の謎はカナダ・サイモンフレーザー大の物理学者、アビナッシュ・クナール博士とジョン・ベックホーファー博士により解明。2020年8月 「NATURE」 誌に発表されたのです。

 

 彼らはもともとムペンバ現象ではなく、さまざまな条件下において水の単一分子に近い大きさのガラスが水中でどのように動くか、を実験していたところ、たまたま水の冷却中、高温のガラスが低温のガラスよりも速く冷却されることを発見したと言います。

 

 凍結ではなく冷却...ガラス中の温度が下がっていくプロセスに着目して変化を追跡したところ、高温のガラスは低温のガラスよりも早く冷却され、ほぼ比例的に温度が低下する場合のあることが明らかになったのです。

 

 

あくまでレアケース

 

 

 理由としては、分子レベルで発生する温度のむら。

 現実の世界では必ずしも冷却という現象は理想通りに進まず、かなり 「むらのある冷却」 が起きます。熱い部分が局所的に低温に移行しやすい構造に再配置される場合があるというのです。

 

 あまりにレアケースで、今のところ意図的にこの現象を再現することは不可能だそうですが、温度変化は直線ではない、との常識に反する事実が存在したのでした。水以外に磁気、ガス、ナノチューブ、ポリマーなどで同様の現象が確認されています。

 

 なお、現象の名を冠されたムペンバ氏は、アフリカ野生生物管理大学で学位を取得したのち、オーストラリアとアメリカに留学。タンザニア天然資源・観光省の上級職員、国連の食糧農業機関主幹を歴任して、2023年5月に73歳でお亡くなりでした。