本日は、「MSI=みつまめスケプティック委員会」 からの活動報告です本

 

 古今東西あまた世上をにぎわせたフェイク科学系の話題を総ざらいし、信頼に足る真相に迫りますサーチ

 

 今回は、きょうだい型心理学 です。

 

 

 ♪弟想いの長男 兄さん想いの三男 自分がいちばん次男

 

 『だんご三兄弟』 にも歌われるように、通俗心理学では古来、生まれた順番が性格形成に影響する、と言われてきました。

 

 児童教育に尽力したアドラー心理学の創始者アルフレッド・アドラー博士(1870~1937)にはじまり、第二次大戦後はカリフォルニア大バークレー校のロバート・ニスベット博士(1913~1996)などさまざまな社会学者、心理学者が提唱・研究してきたこの概念の決定版は、マサチューセッツ工科大の心理学/科学史家フランク・サロウェイ博士(1947~)。

 

 なんと歴史上の偉人6566人の伝記から、長子に特有の性格パターンを導き出したというのです。

 

 いわく、当初は親の愛情を独占してきたのに、弟・妹が生まれると彼らが可愛がられるようになり、傷つき嫉妬する。そこから威圧的・暴力的な性質が生まれ、同時に自制心・責任感によってそれを抑制し、成長すると言います。

 

 次子以降にはこのプロセスがない代わり、兄や姉にない才能を開花させ、親の注目を惹き続ける必要があるという見解です。

 

 しかしサロウェイは自身が長子でないこともあり、断定はせず。

 「誕生の順番は、家庭内で与えられる影響が心理学的な効果を表すための誘因であると仮説が立てられる」 とごく穏便な結論に止めました。拡大解釈したのは以降の通俗心理学や育児本、テレビなどの影響です。

 

 長子の方が次子以下より体が大きく知能の発達も早い。当然ながら家庭内では優位になり、たとえばテレビのチャンネル争いでは有利になるわけですが、果たしてそれが外の世界でも通用するのかとなると、否定的な意見が相次ぎました。

 

 近年、先進国では少子化が進み、ひとりっ子家庭の方が多くなったため、現実的にこの理論は成り立たなくなっています。かつてひとりっ子は 「わがまま、甘えん坊、世間知らず」 などとさんざんな言われようだったのが、さいわいに払拭されたのです。

 

 2015年以来、ヒューストン大のロディカ・ダミアン氏はアメリカ国内44万人以上を長期に追ったデータをメタ分析し、今般、学術誌 「Journal of Research in Personality」 に発表。社会経済的地位、性別、年齢の影響を調整した結果、「生まれた順番と性格特性の関連性は、限りなくゼロに近い」 と結論しました。

 

 また、ジュリア・ローラー、ボリス・エグロフ、ステファン・シュムクルの欧米共同チームも 「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」 に米・英・独2万人分の調査データを報告し、「外向性、情緒安定性、協調性、誠実性、想像力について、いずれも生まれた順番の影響は見られなかった」 と報告しています。

 

 たったひとつ、言語知能のわずかな差違が認められたといいます。これは幼少期に子ども同士でなく、オトナと過ごす時間の長さで説明がつく程度だとか。

 

 それでもダミアン博士自身、世間の偏見は消えず残るだろうと嘆息します。

 

 「すべての人に生まれた順番があります。そして、私たち自身の経験がそれを支持しているように思えるのでしょう。年上の子どもは常に弟や妹より責任感が強く、洗練されているように見える。なぜなら、年上の子どもは常に弟や妹より成長しているのですから」

 

 それでも 「たとえそのように見え、それが事実だとしても、過去にさかのぼり、子どもたちを同じ年齢にそろえて観察できる魔法のレンズはありません」 と理解を求めました。

 

 正直、わたくし みつまめも末子なので、ある程度関係があるのかな、と思う部分がずっとありました。

 しかし他人からの性格の決めつけはイヤなもの。今後はこうした話題を引き合いに出さないよう心掛けようと思います。

 

 

 それではまた、次回の報告会でお会いしましょうMSI