5月29日、《NHK BS》 で放映した 「ポセイドン・アドベンチャー」 を観ました。

 

 ジーン・ハックマン主演、オリジナル公開は1972年12月。原題は 「THE POSEIDON ADVENTURE」 です。

 

 

新年を祝う乗客たち(左)  転覆事故の惨劇!(右)

 

 

 大晦日の夜、ニューヨークからギリシャへ航海する豪華客船ポセイドンは、海底地震による大津波と氷河で転覆する大惨事に見舞われてしまいました。

 

 船体は真っ逆さま。船員は全滅し、迫る浸水と燃料の引火で生き残った乗客たちも絶体絶命な事態に、乗り合わせたスコット牧師(ジーン・ハックマン)は生への執念を燃やして皆を鼓舞。行動力とリーダーシップを発揮して、彼を信じる10人とともに、救助隊を待つべく船底を目指します...

 

 

人間関係の緊張(左)  船内決死の脱出行(右)

 

 

 1973年アメリカ映画最大のヒットにして、パニック映画の最高峰。かの淀川長治さんが 「この映画を観るために生まれてきた」 とまで絶賛されていたとか(淀川さんのそういう誉め言葉は珍しくないそうですがw)。

 

 自分としてはタイトルだけは聞いたことがある、という程度。それでも気が向いて観てみたら、なるほど素晴らしい作品でした。

 

 CGのない時代なのでぜんぶ実写という画の迫力、ハラハラドキドキなピンチの連続、という脱出行とともに、登場人物の個性付けがよく出来てる。老いも若きもほとんどの人間のタイプが描かれていると言ってよいでしょう。

 

 事故が起きる前の平穏、客船でくつろぐ人々の描写のうちにキャラクターが端的にわかるのが見事。スコット牧師が牧師のくせに実はあまり神を信じておらず、いざというとき頼れるのは自分だけ、と説教していたのがのちの行動に表れます。

 

 自己中心的、わがまま、悲観的、気弱、他人頼み、カラ元気......さまざまな個性によって気遣いあったり反目したり、意外な一面を見せたりと、極限状況での人間関係が見せ場と言えましょう。

 

 残念ながら、全員が全員助かるというわけにいかず、ハッピーエンドの大団円とはなりませんが、文字どおりの希望の光を表現したラストシーンが見事で印象的でした。終わってため息出た。。。