本日は、「MSI=みつまめスケプティック委員会」 からの活動報告です本

 

 古今東西あまた世上をにぎわせたフェイク科学系の話題を総ざらいし、信頼に足る真相に迫りますサーチ

 

 今回は、ムーヴィング・ロック ですポーン

 

 

 カリフォルニア州とネバダ州にまたがるデスバレー国立公園。

 その広さは長野県ほどあり、夏の気温は摂氏40度、華氏104度越えというまさしくデスバレー。

 

 その地の直径3キロの乾いた湖レーストラック・プラヤに、勝手に動き回る石たちがあります。引きずられたような溝を描き、確実に位置が変わっているのです。その数や160個。

 

 観光客が訪れる場所ではありますが、じっさいに動いているところを見た人は皆無。どうして動くのか、誰かの仕業なのかが長年の謎でした。いきおい超常的なオカルト話につながる道理です。

 

 

長年の謎・ムーヴィングロック

 

 

 この事実が知られだした1950年代から、仮説がいくつか唱えられました。

 石が磁気を帯び、砂鉄の作用で移動した磁力説や、付近のネバダ核実験場からの振動で動いたという共振説などです。

 

 なにぶん目撃例がないため調査に限りがあったところ、サンノゼ州立大のポーラ・マッシナ教授が考えた、年に数回起こる嵐による降雨で石の下に泥がたまり、強風で地滑っているのではないか、という見解が主流になりつつありました。

 

 2000年代になり、氷イカダ説が登場。冬場に降った雨が一部凍結し、その氷が石をわずかながら浮かすことで泥水に流されるという新説です。これならすごい強風でなくてもランダムに移動する可能性がある。

 

 2013年12月、スクリップス海洋研究所のリチャード・ノリス氏と従兄弟のジェームズ氏が石にGPSを埋め込み、付近に小屋を建てて観察を試みました。すると、冬場に7センチほどの水たまりが発生し、夜は凍結。昼間にまわりの水が蒸発すると、石の下に張った氷が風の影響で滑っていく様子が確認されたのです。

 

 

決定的証拠の瞬間

 

 

 数年スパンを覚悟して実験にのぞんだノリス氏たちでしたが、あしかけ2年の実質数ヶ月で終了。いささか拍子抜けだったとのことながら、GPSという新技術のおかげで長年の謎はついに解明したのです。今では <MOVING ROCKS> 改め <SAILING STONES> と呼ばれています。

 

 ちょうどナミビアのナミブ砂漠でも同様の現象が報告され、GPS検証によりやはり氷と風の作用でした。自然界では、一見不可思議なことでも起こり得るんですねぇ。

 

 

 それではまた、次回の報告会でお会いしましょうMSI