みつまめの「このレコード聴いてみた」
「THIS HOUSE IS NOT FOR SALE」
BON JOVI
古今東西あまり関係なく、みつまめのお気に入りレコードを披露している 「このレコ!」、今回はこのバンドのアルバムです。
BON JOVI(2016)
Vo:ジョン・ボン・ジョヴィ
G:フィル・X
Key:デヴィッド・ブライアン
B:ヒュー・マクドナルド
Dr:ティコ・トーレス
ボン・ジョヴィも今年でデビュー40周年。1stアルバムのデラックス・エディションが出たり、You Tubeで過去曲ミュージックビデオのHD版が公開されたりの企画続々です。
今回セレクトの 「THIS HOUSE IS NOT FOR SALE」 は2016年11月発売の通算14作目。
当時のボン・ジョヴィはデビュー以来所属していた 《マーキュリー》 との契約更新交渉が決裂。CDセールス衰退で条件がシビアになったとか、版権管理を自分たちでやりたいジョンの意向とか理由はいろいろ言われてました。
2015年8月、前宣伝なしでアルバム 「BURNING BRIDGES」 発売。ファン・レコードという説明ではありましたが、マーキュリーとの契約枚数消化のため、未発表曲を放出したものだったとか。
結局、バンドは新たに 《フルストップ・マネジメント》 と契約します。会長のアーヴィン・エイゾフは多くの大物アーティストの版権を買収したり、チケットマスターやマジソン・スクエア・ガーデンの大株主でもあるというレコード/コンサート業界の大物。実質、バンドは独立独歩を断念したかたちです。
新しい所属レーベル 《アイランド・レコード》 は別口ではありながらもマーキュリーと同じ 《ユニバーサル・ミュージック・グループ》 傘下なので、ジョンとしては大いなる妥協というか、ほぼ挫折感を持ったかも知れません。日本でいえば、個人事務所でやってたのがバーニング系に入るみたいな(笑)。
もうひとつ、バンドは脱退したリッチー・サンボラが戻ってくる芽がなくなり、再編を余儀なくされていました。トロント出身、メタルからポップスまで広くセッションワークしていたフィル・Xを迎え、1994年にアレック・ジョン・サッチが脱退してからずっとサポートメンバーだったヒュー・マクドナルドが正式メンバーに昇格。22年ぶりにボン・ジョヴィは5人バンドになります。
マクドナルドは1950年フィラデルフィア出身、ジョンより12歳年長なので今年末には74歳。ワールドツアーはそろそろツラかろうと思うんですが、バンドへの貢献を考えれば正式メンバーになれたのはさいわいです。
心機一転のアルバムは 「THIS HOUSE IS NOT FOR SALE」...この家は売り物件ではない、とジョンのステイトメントがよく表れています。曲も粒揃いで、ジョン・シャンクスやビリー・ファルコンといったカントリー/ポップス畑のソングライターと共作してマンネリ化を防ぐとともに、いささか声が涸れてメタルシンガーとは言えなくなってきたジョンには、適度なポップ化は成功でした。
リード曲 『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』 から 『LIVING WITH THE GHOST』、『KNOCK OUT』、『ROLLER COASTER』 とどんどんミュージックビデオを作って公開していく戦略も奏功し、アルバムは全米1位、全英5位のヒットをマークしています。近年の快作。
全18曲75分の大ボリュームは、本編12曲で欧米盤のボーナストラック5曲、日本盤はさらにボーナス1曲。アルバム全体の1/3がボーナスて......ボートラって何なんだろうと哲学してしまいました(笑)。
それでは 『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』 です。