R大学文学部史学科の院生・あんみつ君ニコは、新年度からの近現代史演習の開講準備のためお手伝いに来ています。

 

 さて、今回はどんなテーマに話が発展するんでしょうか(≧∇≦)ノ

 

 

 

 

ロールケーキ ピンクドーナツ コーヒー

 

 あんみつラブ 「しらたま先生、おじゃましま~す...あっ、プレミアムロールケーキ発見! そういえば、先週からローソンで47%増量の盛りすぎチャレンジやってるんですよね。税込205円でこのサイズはうれしい。おかげでどこでも品薄ですよぉ(笑)」

 

 しらたまオバケ 「おーっ、お手伝いお疲れちゃん。ティータイム用に買っといたんだよ。デカい分408kcalもあるからそのつもりで。ローソンといえば、この前 <KDDI> が株式公開買い付けで50%を収得して、親会社の三菱商事と共同経営するなんて話だねぇ」

 

 あんみつもぐもぐ 「通信とかデジタル変革でコンビニと融合って、ボクにはぜんぜん意味不明ですけど(笑)。でも昔、ダイエーがオーナーだったときは正直、買いたいものがなくてセブンイレブンばっか行ってたから、資本元が大事なのはわかるような」

 

 しらたまオバケ 「しゃはは。ダイエーも今やイオンの傘下だしねぇ。まー僕らには関係ない世界だ。おやつが美味ければそれでいい(ぶははゲラゲラ)。ところで春からの日本近世史演習は、基幹教授会に任しといたら天保の改革周辺を扱うことに決まったんだったね。どのくらい学生の履修があるか読めないなぁ。教室どこにしよ」

 

 あんみつウシシ 「以前に享保の改革寛政の改革とやってますから、これで江戸時代の三大改革が揃いますね。天保の改革は正味の期間が2年5ヶ月と短く、施策としては頓挫と言われてます。そこで改革そのものじゃなく、時代劇でも有名な遠山金四郎をメインにこの時代を見ていこうと、キャッチーな講座にってことじゃ」

 

 しらたまオバケ 「しゃはは、そういうことかぃ。でもさ、有名ったって時代劇でやってたのなんか、松方弘樹のだってもう30年前だぜ(笑)。今の学生知らないっての。まぁその分ヘンな先入観がないだろうから、史実にフォーカスしていく分には助かる」

 

 あんみつぶー 「言われてみると、リアルな金四郎...遠山左衛門尉(さえもんのじょう)景元ってよくは知られてないですね。寛政五年(1793)生まれで、33歳までの履歴がまったく不明。同じく金四郎、左衛門尉の通称だった遠山景晋(かげみち)の長男です」

 

 しらたまオバケ 「遠山家は直参とはいえ500石。政敵となる鳥居耀蔵の2500石、かつての大岡越前の1920石と比べて高級旗本とは言えない。景晋は永井筑前守直令(なおよし)1000石の四男に生まれ、部屋住みから遠山景好の養子に入ったのだが、そのあとに景好に実子・九十郎景善が出来た。跡取りでモメそうだろ(笑)」

 

 あんみつえー? 「そこで、景晋は義弟の九十郎を養子ということで後継者とし、我が子の金四郎が生まれても隠して育てたんですね。でも九十郎は景晋より先に55歳で亡くなってしまったので、金四郎がその養子、家督相続者と届けられました。ええと、つまり実父景晋は祖父扱い(嫡孫承祖)」

 

 しらたまオバケ 「このとき金四郎33歳。文政八年(1825)に将軍徳川家斉へのお目見得が叶い、300俵取りの西の丸小納戸布衣、つまり世子家慶の身支度係として勤務が始まる。父の隠居は4年後。長崎奉行や勘定奉行を歴任した能吏だった。おかげで金四郎の妻には4200石の大身堀田主膳の娘おけいを迎え、景晋は天保八年(1837)、74歳まで長生きしている」

 

 あんみつねー 「有名じゃないけど、父も金さんに劣らぬ名奉行だったんですね。金四郎は世子家慶の側近を続け、将軍家斉が50年もの在職から退隠し、家慶が十二代将軍になると表舞台に登場します。金四郎というと、桜吹雪の彫り物が有名ですけど本当はどうなんでしょう、あったともなかったとも言われてますが」

 

 しらたまオバケ 「19世紀の江戸では刺青が流行し、イナセ気取りの町人は入れてるのが当たり前という状態だった。幕府はたびたび禁令を出しているが、‟若者の伊達” として華美にウツツを抜かすのはけしからんという理由だ。金四郎が入れてたのも事実だよ」

 

 あんみつウインク 「遠山家の養父との事情で、若いころに家出して放蕩無頼を働いたのは本当らしいですからね。町奉行になってから下情に通じたお裁きが出来たのは、そのころの実体験のおかげだと言われます」

 

 しらたまオバケ 「オンタイムで京坂の見聞を記した 《浮世の有様》 という史料に、江戸の遠山左衛門の若いころの素行や、刺青について記述がある。また、明治になってから遠山を知る旧幕臣の回顧談として ‟左腕の花紋” の話が見えるんだけど、さらに右腕には巻紙をくわえた長い髪の女の生首を入れていたという。ほれ」

 

 あんみつおーっ! 「本 え″ 生首ですかぁ~、桜吹雪よりそっちを見せたほうが悪人がビビる気がします。金四郎の与力だった佐久間健三郎...明治になって東京裁判所に勤めた人が、‟学力世才に長じ有為の仁物なりしが、外見文身を入れ、遊歩行たる者など云う評判” と書いてますね。褒めてるんだがけなしてるんだか」

 

 しらたまオバケ 「それでも在職中から庶民の味方として江戸町人の圧倒的な支持を受けていた。明治からすでに ‟遠山帰り” といって、彼の事績をなつかしむ芝居や読み物が出たくらいだから、テレビ時代劇の主役に扱われるのも道理だろう。残念にも、彼の裁判記録は伝わらない。残ってたんだけど、関東大震災(1923)で焼失してしまったんだ」

 

 

 

 

 

 今回から始まる新シリーズは、遠山金四郎を中心に天保の改革の周辺、重大な事件が連続する時代の転換期を探訪します。

 

 次回は、大塩中斎大坂に檄す のおはなし。

 

 

 それではごきげんようオバケニコ