先日受けてきた 《緊急救命講習》 では、テキスト小冊子を使った講義もあり、閑話休題というか、こういう機会がないとなかなか知ることのない興味深い話が聞けました。

 

 緊急通報から救急車が到着するまで、全国平均で約9分。けっこうかかりますね。新型コロナ禍や熱中症、少子高齢化で緊急要請が増加したせいだそうですが、救急車は文字どおりあっち行きこっち行き。間に合わなければ連携協定に基づき、近隣の市町に代行を依頼しているそうです。

 

 それでも間に合わなければ、最後の手段として消防車で患者を迎えに行くんだとか。消防車にも救急車と同等の装備があるからだそうですけど、もし救急車を呼んだのに消防車が来たらビックリするでしょうね。いえ、火事じゃないんですケド~って。

 

 救急車といえば、一般車輛はみな道を譲り、信号も無関係に走れるわけですが、意外とその速度はゆっくり。安全運転してるわけじゃなく、患者を乗せてぶっ飛ばすと体に良くないんですって。心肺停止だったり喘息の場合は、負担をかけないようそぉっと走るわけです。

 

 救命処置では、人体なのでなかなか不思議な神秘がある。傷病者が呼吸をしているか見定めるとき、しゃくりあげるように途切れ途切れな呼吸をしているので、まず大事ではないと思ったら、これは心停止直後の反応で 《死戦期呼吸》 といい、かえって最悪な事態だとか。即、胸骨圧迫を始めなければなりません。死線期...いや~、コワい響きです。

 

 胸骨圧迫の目的は、停止した心臓に替わって冠動脈に血流をめぐらすためなので、続けていればテキメンに血色が良くなり、脈が触れるようになるとか。止めれば顔がまっ白になるという。まさにバイスタンダー(その場に居合わせた人)が命を握っていることになりますね。

 

 そうはいっても、心停止に至るとなかなか全快は難しい。社会復帰できるまでに回復するのはよほど迅速な処置が成された場合にかぎり、AEDでの電気ショックであれば約44%の社会復帰が見込めると言います。

 

 一般市民のAED使用が日本で解禁されたのは2004年。アメリカでは2000年だったので、けっこう早い追随でした。2002年11月、高円宮憲仁親王が心室細動のため47歳の若さでお亡くなりになった事例の影響でしょう。

 

 それまでは除細動は医療行為であり、救急車の救急救命士ですら医師の指示が要るものだったので、われわれにも解禁されたのはなかなか大きいことです。しかしながら、許されているのは 「使用」 なので、いったんつけたら外す権限はないんだとか。救急隊に引き継ぐ前に勝手に取ったら違法になるので要注意。

 

 

 とりとめないですけど、覚えてる話を忘備的に。