12月8日、NHK BSの 《プレミアム シネマ》 枠で放映した 「シン・ゴジラ」 を観ました。
総理の緊急会見(左) 首都にゴジラの猛威!(右)
2016年の東宝映画。総監督と脚本を庵野秀明さんが手がけたのは大きな話題になりました。
庵野さんといえば、かの 「新世紀エヴァンゲリオン」 の原作・脚本・監督で有名。自分もオンタイムというか、ブームになりつつあった1997年2月の深夜一挙再放送を観た覚えがあります。
実はこりゃ~おもしろい、と夢中になりかけたものの、例の ‟ラスト2話” に呆れてしまい、以降エヴァ関連にはノータッチでいます。一生許さん(笑)。
まぁ、それはそれ。ずば抜けた才能をお持ちの方とは思っているので、その庵野監督がゴジラを撮るとなると興味がないわけでもなく、このたびのテレビ放映に飛びついた次第です。もう8年経ってますけど...
公開当時の評判では、もし巨大怪獣が首都に襲来したら、政府はどのように対処するのかをリアルに描いているというものだったと記憶しています。キャッチコピーは 「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」 だったそうですし。
矢口とカヨコ(左) ゴジラの造形は過去イチかも(右)
登場人物はすべて政治家。主役の矢口(長谷川博己)は官房副長官にして 「巨災対(巨大不明生物特設災害対策本部)」 の事務局長。国家安全保障担当の赤坂総理補佐官(竹之内 豊)がカウンターパートナーで、アメリカ大統領特使の日系人カヨコ(石原さとみ)はよくモノマネされてた気がするアクの強いキャラ。なにやらエヴァのミサトさんっぽい。
やたら長い肩書きとか、防衛装備のテロップが細かいのは、ミリタリーオタクであろう庵野監督らしい感じです。セリフ量も膨大で、みんな早口で必要連絡事項をまくしたてる。官僚が用意した答弁書を読み上げるならともかく、これほど的確な言葉が瞬時に出てくる人類など見たことがないので、この点においてはリアリティは著しく低いと言えましょう。
首都破壊の大惨事に際しても出世しか頭になかったり、優柔不断な態度だったり、市民自衛隊員の犠牲を省みない冷酷さだったり、政治家という人種をシニカルに描くあたりが主眼ではありますが、現実と比べるとぜんぜんマシに見えるのは不思議。
旧作への敬意がわかるような、かつてのBGMをふんだんに使い猛威を振るうゴジラの蹂躙に成すすべがない政府と自衛隊。駐留米軍の出動となり、ついに国連安保理の核兵器使用決議となります。日本に ‟3度目の投下” となるのか...
首都への核投下について激論となるのは、昭和ゴジラでもありました(1984)。あのときは三田村総理(小林桂樹)が ‟非核三原則” 堅持を譲りませんでしたが、現在の、さしずめ自公国維だったらホイホイ受諾することでしょうね。
果たして政府・巨災対に打つ手はあるのか、がクライマックスとなり、119分の上映時間を一気に見せるのは見事な画づくり。結末がどのように受け取られたのかは人それぞれだと思いますが、少なくともエヴァよりは万倍良いです(笑)。