11月12日~26日、福岡国際センター開催の大相撲九州場所は、大関・霧島が13勝2敗で2度目の優勝でした。

 

 

十四日目、直接対決で熱海富士に勝利

 

 

 霧馬山の四股名だった今年春場所で初優勝。夏場所のあと大関に昇進しましたが、右肋骨の負傷でいきなり欠場の名古屋場所は、4日目から強行出場したものの6勝6敗3休とつまずきます。

 

 秋場所は9勝6敗とカド番を脱出したものの、大関のプレッシャーなのか相撲がずいぶん小さくなった感じでした。

 

 しかし今場所は得意の左四つ身に加え、突かれても下がらないフィジカルの強さが復活。盤石の取り口で七日目からは9連勝で快走し、四股名を譲った定年目前の師匠陸奥親方も喜んでおりました。下の名乗りは鐵力(てつお)というんですけど、読めないわぁ。

 

 優勝争いにからみ、十四日目の直接対決で霧島に敗れた熱海富士は、なんと2場所連続の健闘。秋場所ではあと一歩のところで優勝を逃し、前頭八枚目の今場所も11勝4敗は立派です。21歳の若さですから今後もチャンスがあるでしょう。右腕がバンテージぐるぐる巻きなのは少々心配。

 

 先場所優勝の貴景勝は、連覇で綱取りという話題がありましたが、11勝だったうえその前がカド番だったので、協会内での昇進ムードがゼロだったのはやむを得ないでしょう。

 

 ところが横審の山内委員長は 「国民が期待してるから諮問されれば快諾する」 と能天気なコメントでした。今の横審は都倉センセイとか紺野美沙子とかわけのわからないメンバーなので、横審自体を審議してほしいもんです。貴景勝は結局9勝6敗。

 

 もうひとりの大関・豊昇龍は10勝5敗。中盤の崩れで優勝には絡めませんでした。大関2場所目でふたケタですからまずまずとはいえ、もっともっと強くなりそうな人です。

 

 次期大関を狙う大栄翔は9勝6敗。今年は10、12、10、9、10、9と安定はしておりますけど、もうひと声という感じ。琴ノ若は11勝4敗、来場所優勝でもすれば大関の可能性ありです。

 

 前頭筆頭の宇良は終盤の4連勝で8勝7敗の勝ち越し。31歳にして初の三役が有力です。引退したあと、元幕内と元小結では響きが違いますからねぇ。去年初場所、二枚目で勝ち越したのに春は筆頭止まりだったので、やっとチャンスをモノにしました。

 

 今場所を盛り上げたもうひとりは、前頭十四枚目から11勝4敗で敢闘賞受賞の一山本。北海道岩内の出身で、中央大を出たあと松前の福島町役場に就職。2017年、23歳にして序ノ口からスタートしたという遅い入門でした。2021年の春場所からは関取に定着して先場所は十両優勝しています。

 

 異色の経歴に加え、この人はなんといってもインタビューが感情豊かでおもしろい。口調が可愛らしいというか、アイドルみたいな話ぶりなんですよねぇ、ぜひ動画をご覧いただきたいところです。

 

 十両では、二所ノ関部屋(稀勢の里)の大器・大の里が五枚目で12勝3敗の大勝ち。来場所はいよいよ幕内で観られます。琴勝峰に決定戦で敗れまたしても十両優勝こそ逃しましたが、新入幕いきなりの優勝まである逸材だと思うんで楽しみです。

 

 2023年は横綱・照ノ富士が欠場がちながら、新大関がふたり誕生するなど新味があり、世間とはうらはらに内輪ではなかなか盛り上がった角界。来年はどうなるでしょうか。

 

 毎度とりとめなし、九州場所の感想でした。