R大学文学部史学科の院生・あんみつ君ニコは、夏休み明けからしらたま教授オバケの修士課程・近現代史演習後期講座のお手伝いをしています。

 

 さて、今回はどんなテーマが飛び出すのでしょうか...|д゚)

 

 

 

 

お団子 スイーツ お茶 

 

 あんみつラブ 「しらたま先生、こんにちは~、おじゃまします。図書館の古書資料室から史料をお借りしてきました......あっ、串団子がたくさんある。こしあんとみたらしだけじゃなく、変わったのもありますねぇ」

 

 しらたまオバケ 「お~、おつかれちゃん。あぁ、この赤いのはいちごソースのわらび餅で、茶色のは大学芋風白玉、緑のはきな粉草団子だよ。なかなかイケるから食べてみ」

 

 あんみつゲラゲラ 「ん″~、おいしい。いちごは甘酸っぱいのが合いますねぇ。大学芋はまさにからまってるアメそのまんま。そんでボク、きな粉は大好物なんですよぅ」

 

 しらたまオバケ 「団子のコーティングもアイディアだよねぇ。よく考えたもんだ...あっ、そうそうこれこれ。この史料 《東役飛翰(ひがしやくひかん)》 が置いてある大学の図書館は珍しいから、講座に使わない手はない」

 

 あんみつ笑い泣き 「古文書ですかぁ、ボク、原本ってニガテなんです。あの草体文字というか、ミミズが這ったような字が読めなくて。古文書学のくるみゆべし先生は、字面じゃなく筆順で読むんだって仰言るんですけど」

 

 しらたまオバケ 「しゃははは。目で追うな、手で覚えろってんだろ。僕も言われたことあるけど、それが難しいんだっての(笑)。まぁ、この東役飛翰はそれでも行書が多いから読みやすい方だよ」

 

 あんみつウシシ 「新聞で見たんですけど、最近はAIを使って草書を解読するソフトが開発されたそうですね。学習アプリの無料提供もされてますから、ボクらには助かります。ところで東役飛翰って、幕末の庄内藩士・犬塚甚之助が日記を江戸から故郷に送り、それを製本した通称でしたか」

 

 しらたまオバケ 「うん。知ってのとおり江戸時代は参勤交代があり、藩士たちは江戸と国元を往来していた。それを繰り返すことでいみじくも江戸文化の地方伝播、あるいは江戸をハブとして地方文化がるつぼのような多元化をもたらしたわけだ」

 

 あんみつにやり 「そういえば、かつて参勤交代の目的は諸大名が謀反しないよう人質を取り、滞在費用をかさませることで経済力を抑えることだと習いました。でも近年では、単に幕府への忠誠の確認に過ぎないと考えられるようになったとか。まぁ、結果財政難になったのは確かですけど」

 

 しらたまオバケ 「そう。なので近年では、参勤交代が日本文化の形成に与えた影響についての研究が盛んだ。江戸、あるいは地方の文物の招来だけじゃなく、藩士の江戸体験という精神面でもね。そこで後期の演習講座では、江戸で何をしたかという日記類の史料として、この東役飛翰を読んでいくのさ」

 

 あんみつねー 「なるほど。しかも幕末の庄内藩士といえば激動の只中に身を置きます。文久三年(1863)四月からは、治安維持のための江戸市中警備を庄内藩が任されました。松平容保(かたもり)が京都守護職を仰せつかった会津藩に匹敵する重大任務」

 

 しらたまオバケ 「とはいえ、東役飛翰に見られる日記はごく身近な勤務内容が書かれていて、犬塚甚之助から ‟御父上様 おきん殿 おけん殿 又太郎殿” の宛名がある。日記をまとめて手紙として国元に送ったものだ。おきん、おけんが母なのか姉妹なのか妻なのかはわからない。又太郎は弟だろうけど」

 

 あんみつぶー 「本 江戸勤番の日々の様子を家族に伝えてるんですね。郵送は飛脚でしょうか。所用で国元に帰る藩士に預ける場合もありそう。おかげで現存してるんですから貴重です。さすが江戸だから墨硯と毛筆で書かれてますけど、地方ではまだまだ筆は高級品だから、筆記用具は竹でした」

 

 しらたまオバケ 「こうした通信は犬塚だけでなく、同じ庄内藩士の松平造酒助(みきのすけ) 《江戸在勤日記》 も残ってるし、諸国藩士が盛んに行っていたのだろう。日記と同時に 《御沙汰書》 なる中央政局の情勢を記した書類も国元に送っているから、江戸在勤藩士が重要な情報源だったことがわかる」

 

 あんみつイヒ 「庄内藩は現在の山形県鶴岡市、鶴ヶ岡城を中心とした14万石。酒井忠勝を藩祖とする譜代大名の筆頭格です。本 黒船来航後、安政六年(1859)に幕府から蝦夷地西海岸、ハママシケ(浜益)、ルルモッペ(留萌)、トママイ(苫前)、テシホ(天塩)の警備と開発を任され、多くの藩士が赴任しました」

 

 しらたまオバケ 「それに加えての江戸市中警備だから経費負担が重いけど、譜代の筆頭として忠実に当たっていた。それじゃせっかくだから、幕末の庄内藩の動向を見ていこうか。幕末の徳川方といえば会津藩が真っ先に出てくるけど、庄内も実に興味深い」

 

 あんみつアセアセ 「ぜひお願いします。会津藩は白虎隊だったり娘子軍だったり、鶴ヶ城籠城だったり悲劇というも血生臭すぎるから...滅びの美学というには辛すぎます。やったことは太平洋戦争の玉砕特攻と大して変わらないのに、美談にされがちだし」

 

 しらたまオバケ 「馴染みがないかも知れないから、登場する人物を先に挙げよう。藩主は酒井忠発(ただあき)・忠篤(ただずみ)親子。主役は若き家老の松平権十郎親懐(ちかかね)と、彼の師友・菅(すげ)秀三郎実秀。経済面でバックアップしたのは ‟本間様には及びもないが” の豪商・本間壮吉。新徴組や男装の女剣豪・中澤 琴、侠客の柴田小文治なども出てくるだろう」

 

 

 

 

 

 今回から始まる新シリーズは、幕末の庄内藩です。

 会津に匹敵、それ以上に薩長と戦い抜いた雄藩の戊辰戦争を見ていきましょう。

 

 次回、庄内浪士・清河八郎策動す のおはなし。

 

 

 それではごきげんようオバケニコ