本日は、みつまめ忘れじのNBA名選手を回顧する後ろ向き企画、「みつまめNBAスーパースター列伝バスケ」。

 

 第108回は、前回に引き続き ‟サー・チャールズ” バークレーの後編です。

 

 

 フェニックス・サンズに移籍した1992-1993シーズン、チームを振り回すのではないかとの憶測を覆し、見事にフィットします。「あんなエゴのない人とは思わなかった」 とはチームメイトの口を揃えるところ。

 

 ポイントガードの ‟KJ” ケビン・ジョンソン、ロングシューターのダン・マーリー、スウィングマンのリチャード・デュマース、巨漢のオリバー・ミラーと個性的な選手を擁するサンズは、バークレー加入でNBA指折りの人気を集めると同時に、一気に優勝候補に躍り出ます。シーズンを62勝20敗とリーグ最高勝率を挙げると、バークレー自身も平均25.6得点 12.2リバウンド 5.1アシストでMVPを受賞しました。

 

 

サンズで人気最高潮に

 

 

 進出したNBAファイナルの相手は3連覇を狙うシカゴ・ブルズ。ジョーダンvsバークレーの対決は高視聴率でしたが、ホームコートアドバンテージを持ちながらフェニックスで一度も勝つことができず、2勝4敗でチャンピオンにはなれませんでした。シーズンではホームゲーム2敗しかしなかったのに。

 

 プライベートではジョーダンとは友達で、良き賭けゴルフ仲間でした。この年でジョーダンは最初の引退。チャンスが巡ってきたかと思われたものの、腰のヘルニアに悩まされるようになったバークレーとサンズは、2年連続プレーオフでアキーム・オラジュワン擁するヒューストン・ロケッツに阻まれました。

 

 しかしバークレーの人気は沸騰。日本でもエースコック 《スーパーカップ》 のCMに出演したほどです(ブタキムチ!)。

 1996年アトランタ五輪では 《ドリームチームⅢ》 にも参加し、ふたつめの金メダルをもらいに行きました。試合中、風船ガムをふくらましながらBGMの 『YMCA』 を踊るシーンは大ウケ。

 

 奇しくもこの夏、チャンピオンリングを求めてふたたびの移籍を決断。ヒューストン・ロケッツでアキーム・オラジュワン、クライド・ドレクスラーと ‟ビッグ3” を結成します。

 3人とも30代なかば。正直全盛期は過ぎていましたが、狂い咲きで1996-1997シーズンは57勝25敗。バークレーもリバウンドに特化すると宣言。平均19.2得点 13.5リバウンドを挙げる有言実行でした。

 

 

ロケッツではビッグ3で最後のひと花

 

 

 プレーオフではユタ・ジャズに阻まれファイナル進出は成らず。ドレクスラーが引退しスコッティ・ピッペンが加入するなどロケッツでの優勝に最後まで執念を見せましたが、1999年11月に左大腿四頭筋を断裂。これが致命傷となり36歳で引退となります。

 

 しかし 「キャリア最後をタンカに乗ってコートを去りたくない」 と懸命にリハビリし、2000年4月、最後のゲームに出場。万来のスタンディングオベーションで迎えられたのは大感動でした。

 

 優勝経験がないのがよほど無念だったようで、MLBのバリー・ボンズ、NFLのジョン・エルウェイと ‟ノーリングクラブ” を組んで話題を振りまきましたが、1998年1月にデンバー・ブロンコスがスーパーボウルを制覇し、エルウェイに 「うらぎりものぉ~」 と怒っていたのが可笑しい。

 

 引退後は 《TNT》 の専属カラーコメンテイターとして毒舌を発揮。リーグのご意見番としてNBA中継に欠かせない人になっています。昔宣言していたアラバマ州知事には興味ないようです。

 

 1990年代、プロスポーツ界で議論になっていたのは 「選手はロールモデル(社会の模範)であるべきか」。

 これに対しバークレーは

 「冗談じゃない。スラム育ちでたまたま成金になったオレが子どもの手本になれるわけねえだろ。もしオレの言動が悪影響だってんなら、反面教師にしろと教えればいい話だ」

 

 また、最終的にチャンピオンリング獲得は成らなかったことについては

 「優勝を目指さなかったとは言わせない。オレは一部のヤツみたいに、カネと名声で満足するタイプじゃないんだ。金メダルと貯金通帳を眺めても埋められないものがあるんだよ」

 

 これ以外にも、バークレーの発言は歯に衣着せることを知らないおもしろさ。最後にいくつか挙げてみましょう。

 

 「(ナイキのバッシュCMで)これを履いてもオレのようにバスケが上手くなったり金持ちになれるわけじゃない。ただ同じモデルってだけだ」

 

 「(子どもたちへのメッセージ)学校に行ってきちんと勉強するんだ。世の中、バカなオトナはもういらない」

 

 「(黒人のアイコンになって)結局は白人社会でチヤホヤされてるだけで、オレやジョーダンがいても黒人差別がなくなるわけじゃないんだから空しいもんだよ」