7月16日、《TOKYO MX》 で放映した 「恐竜・怪鳥の伝説」 を観ましたカチンコ

 

 

タイトルバック(左) 主演は渡瀬恒彦さん(右)

 

 

 ‟マグニチュード100の迫力で迫るスペクタクル巨編!”

 なんともステキなラテ欄です。マグニチュード100なんてないし(最大12で地球崩壊)、迫力で迫る、というのも文としてよろしくない(馬に乗馬、みたいな)。

 

 それより驚いたのが、この映画のタイトルを知らなかったこと。

 わたくし みつまめ、いちおう東宝怪獣映画のプチファンで、「ゴジラ」 シリーズでなくてもタイトルだけなら 「妖星ゴラス」 だろうが 「海底軍艦」 だろうが 「フランケンシュタイン対地底怪獣」 だろうが聞いたことくらいはある。

 

 それなのに、「恐竜・怪鳥の伝説」......知らんキョロキョロ

 気になったので観てみたら、東宝ではなく1977年4月公開の東映映画でした。しかも主演がかの渡瀬恒彦さんです。

 

 富士の青木ヶ原樹海で発見された謎の巨石の卵。

 石材会社経営者にして、亡父が古生物学者だった地質学者の芦沢(渡瀬恒彦)は、富士山麓に恐竜が生存しているのではないかと確信します。

 

 西湖には芦沢の恋人のカメラマン亜希子(沢 野火子)が撮影に訪れており、芦沢と一緒に水中探査をはじめることに。

 村の竜神祭りの日、若者でにぎわうなか、地鳴りとともに富士山噴火の兆候。それを引き金に恐竜プレシオサウルスと翼竜ランフォリンクスが太古の眠りから目覚めるのでした......

 

 

太古の恐竜復活(左)  富士山も噴火で大パニック(右)

 

 

 お世辞にも怪獣映画が人気とは言えなかった1977年にこの映画が作られたのは 「ジョーズ」 のヒットにあやかったからで、特撮というよりパニック/ホラーのカテゴリーなんだとか。

 

 当時の東映・岡田 茂社長は採算を取るためアジア向けの海外販売に力を入れてたそうで、邦画のヒット路線だったヤクザ映画だけでなく、特撮とかアニメも作らせていたといいます。東映まんがまつりってそうだったんだ(笑)。

 

 ところがその言い草がなんとも侮蔑的で、「後進国には高尚なもんじゃなくこういうのがウケる」 と公言してたらしい。悪名高いワンマン社長の面目躍如です。それでいて自社で作る映画はハリウッドのヒット作をパクってたんですから何をか言わんやニヤニヤ

 

 内容はといえば、スター俳優は渡瀬さんだけで、その役柄も、若き日の渡瀬さんに多かった、ただの粗暴な男です(笑)。ヒロインの沢 野火子さんは知らない女優さんでした。当時の東映は女優の扱いがいろいろ悪く、家族からは 「娘は東映にはやらん!」 状態でしたから層が薄かったのかも。

 

 特撮の質は1977年とは思えないほどショボく、東宝とか円谷プロってすごいんだな、というくらい思いっきり操演怪獣でした。

 音楽も1977年とは思えないほどダサいサイケフォーク。恐竜出現に驚き慌てる若者たちがほんとにバカっぽくて(笑)、現代の若者はしっかりしてるなぁ、と思いました。逆に中高年に若者が頼りない偏見があるとしたら、こういう映画のせいじゃないでしょうかねぇ。

 

 「恐竜・怪鳥の伝説」 は実写版 「ドカベン」 と併映でゴールデンウイークに公開され、配収については 「不明」 だそうなので、ヒットはしなかったもよう。それもむべなるかな、の怪作です。