5月14日~5月28日開催の大相撲夏場所は、横綱・照ノ富士関が14勝1敗で、6場所ぶり8度目の優勝でした。

 

 

最後はノド輪から押し出し

 

 

 照ノ富士は昨年秋場所の途中休場から、九州・初・春と全休。10月に両ひざ変形性関節炎の手術を受け、体重増から持病の糖尿病も悪化というピンチでした。

 

 しかし2019年春に序二段まで番付を下げながら、2021年秋には横綱にまで登りつめた不屈のメンタルをふたたび発揮。どん底期に結婚したドルジハンド夫人とのあいだに、昨年11月長男が生まれたというのがモチベーションになり、見事な復活劇でした。お子ちゃんは照務甚(テムジン)くんだそうです。蒼い狼!

 

 とはいえ両ひざはサポーターとバンテージでグルグルのガッチガチ。素足では四股どころかソンキョも出来ないというので、文字どおりの満身創痍です。

 

 そんなでも土俵にさえ上がれれば強い強い。ほぼ上半身だけの取り口ながら、カンヌキからの極め出しというシグニチャームーブを必勝パターンに、中日給金。明生に金星を与えたものの大関・関脇勢を全員蹴散らしました。

 

 もっとも避けたいのは土俵下に落ちるヒザへの負担。十二日目の若元春戦で、寄り倒した勢いあまって飛び降り、顔をしかめていましたが、十三日目の朝乃山、十四日目の霧馬山と優勝を争うライバルを直接対決で潰して千秋楽前のV決定です。

 

 先場所で初優勝、今場所に大関取りがかかった霧馬山は11勝4敗で条件クリア。31日に審判部が臨時理事会を招集というので、大関昇進決まりでしょう。序盤こそ慎重になったか消極的な取り口でしたが、後半は良い動きでした。安定した大関になりそう。

 

 4人の関脇はみんな10勝以上とハイレベルで、豊昇龍と若元春、大栄翔は来場所が大関獲りになります。やっと世代交代の 「時は来た~」 か(古っ)。

 

 幕内復帰の元大関・朝乃山は12勝3敗の好成績。関脇以上で当たった照ノ富士と大栄翔には黒星だったのでまだわかりませんけど、やはり大関級の地力があるんですね。おかげで優勝争いが盛り上がりました。

 

 盛り上げたといえば、元白鵬の宮城野部屋・北青鵬が朝乃山に勝つなど前半好調。後半5連敗で8勝7敗に終わったものの、200cmの長身で上手を取ってくる豪快な取り口は会場をどよめかせ続けました。粗削りが洗練されてきたら上位に来ることでしょう。

 

 同じ宮城野の ‟ネクスト・ビッグシング” 落合はデビュー3場所目にして十両で14勝1敗。本割と決定戦で豪ノ山に敗れ十両優勝はなりませんでしたが、末おそるべしです。

 

 ネクスト・ビッグシングといえば、元稀勢の里の二所ノ関部屋に入った日体大出身アマ横綱・大の里が幕下十枚目付足でデビューして6勝1敗。これまたすでに幕内級の貫禄ある相撲っぷりなので期待大です。

 

 今場所の中継では、8日目の5月21日にBSの 「大相撲どすこい研」 とコラボした、立ち合いにクローズアップする企画が実におもしろかった。事前アンケートを紹介したり(↓こんな)、ゲストの今田耕司に宮城野親方がレクチャーするやりとりも新鮮で、毎日では疲れるけど(笑)、15日に1日くらいはこういうのもアリですねぇ。

 

 

 

 

 先場所十両優勝、幕内復帰しながら場所前に引退の逸ノ城、6日目に引退の元大関・栃ノ心、いずれも体が限界とのことで本当にお疲れさまです。中継解説を全休した北の富士さんが心配...

 

 

 毎度とりとめなしの感想記、夏場所はこんな感じでした。