2月1日から 《BS12(トゥエルビ)》 で順繰り放送してくれた市川雷蔵主演の大映時代劇映画 「眠狂四郎」 シリーズ。
2月22日放送は第4作 「眠狂四郎女妖剣」。せっかく観たので記事にしておきます。
ライバル陳孫(左)、髪型が素のまんまw
オリジナル公開は1964年10月。前3作とは比べものにならないほど大ヒットし、シリーズロングランを決定づけたそうです。たぶん、タイトルからチャンバラ以外の何かを期待したのでしょう。
ここからシリーズはお色気を押し出すようになりますが、現代からすると別にどうということもない、地上波でオンエア出来るレベルです。これでウリになったということは、1960年代の成人男性はよほど飢えてたんでしょうか。
ストーリーはかなり強烈で、眠狂四郎忌まわしい出生の秘密が明かされます。つまり転びバテレンの黒ミサ儀式で生贄になった女性が、神父の子を産まされ誕生したのが狂四郎という。赤みがかった髪色がその名残りです。
そのせいで神も、神を信じる人間も軽蔑の対象であり、役人に囚われた異人神父が獄中で酒と女をあてがわれたのに抗せず破戒したことに激怒、釈放されるや容赦なく首を飛ばします。
また、隠れキリシタン狩りで磔になった信者たちを冷たく傍観。「何もせぬ神など信じるからこういう目に遭うのだ」 と言い放つあたり、本作品のステイトメントと言えるかも。
狂四郎に色仕掛けは通用せず
浜松にいる隠れキリシタンにとって希望の聖女、びるぜん志摩(久保菜穂子)を守ってほしいと頼まれた狂四郎は断固拒絶するも、将軍家斉の娘菊姫や、アヘン密貿易商人が放つ刺客たちの襲撃に否応なく巻き込まれ、浜松へ旅する筋立て。
お色気というのは、要は狂四郎を斃すため色仕掛けする女刺客たちで、誘いに応じるフリをしながら床下にブスっと刀を突き立て、隠れてた敵が ギャアァァ となるというパターンを繰り返します。
円月殺法はストロボ撮影
第一作に登場した城 健三郎(若山富三郎)演じる少林寺拳法の達人・陳孫が再登場し、エースのジョー的ポジションなのかなと思ったら、決着は不透明のまま姿を消すと、以後は出てきません。中途半端でもったいない扱いのキャラクターでした。
狂四郎の佇まいはこれが決定版ということになるのでしょう。立ち姿、殺陣、セリフ回しは現代の役者にない魅力があります。円月殺法はストロボ撮影に進歩しており、これは子どもならずともマネしたくなること請け合い。まさに昭和のヒーローのひとりです。