7月10日~7月24日開催の大相撲名古屋場所は、前頭二枚目の逸ノ城関が12勝3敗で初優勝となりました。

 

 2009年3月、逸ノ城と照ノ富士が同じ飛行機の便でモンゴルから来日したのは有名。二歳年上の照ノ富士は、鳥取城北高を出てすぐ2011年にプロ入りしましたが、逸ノ城は鳥取県体育協会に所属して実業団横綱となり、幕下付足しの資格を得てから2014年初場所のデビューでした。

 

 同年夏場所には十両昇進、幕内になった秋場所でいきなり13勝2敗で白鵬と優勝を争い、出世が早すぎたためザンバラ頭のまま取る姿は実況アナから ‟モンスター” と称されたものです。

 

 しかしその後はなんだか小さくまとまってしまった感じで、三役から十両のエスカレーター。ヘルニアとか増量過多とかあり、照ノ富士に大きく水を空けられたのは忸怩たるものがあったはず。直接対決でもここまで2勝13敗でした。

 

 

五日目、直接対決で勝利

 

 

 逸ノ城というと自分がイメージするのは、カレー嫌いなこと。カレーが食べられない人などこの世にいるのか、と驚いたものですが、照ノ富士もそうらしい。

 あと、部屋の湊親方のおかみさんが実にキビしい人で、以前部屋で逸ノ城の誕生会をやろうとしたら本人がスッポかして遊びに出てしまい、すさまじく怒ったという。ま、そりゃ怒られて当然ですが...

 

 しかしおかみさんは医師だそうで、自身のふたりの子どもを育てつつ逸ノ城の治療にも付きっ切りで当たったんだとか。優勝インタビューでおかみさんに謝意を表したのがよくわかります。

 

 千秋楽の結び、照ノ富士が貴景勝に勝てば相星優勝決定戦となるところ、照ノ富士が敗れて逸ノ城のV決定。その瞬間、こんなに露骨に顔に出すか、というくらいニンマリと喜んでいました。良かったねぇ。

 

 この名古屋場所は、新型コロナ第7波が力士を襲い、日を追うごとに感染者続出。幕内15人、十両6人が途中休場となる異常事態だったので、完走しただけでも立派なものです。

 

 問題は、カド番のうえ2勝4敗から感染休場した御嶽海。コロナでの休場については翌場所は地位据え置きというルールですが、そしたら救済になってしまう。これから番付編成会議で協議とのことでどうやるやら...自分としては、「秋場所は大関据え置きだけど、もし負け越したら翌場所10勝で大関復帰の措置なし」 が妥当かなと思います。

 

 同じくカド番で今場所を迎えた大関・正代は、序盤1勝4敗から建て直し7連勝。結局10勝5敗で終えました。白鵬の間垣親方から、「取組前にたっぷり汗をかけ」 と準備運動をアドバイスされたあとの好成績だったそうで、ずいぶんシンプルな助言なのと、そんなことで吹っ切れるんだなと驚きです。

 

 もうひとりの大関・貴景勝は逸ノ城をアシストする千秋楽結び勝利で11勝4敗の好成績ではありましたが、4日目逸ノ城戦で、マゲをつかまれたアピールはみっともなかった。乱暴な張り手とか引き落としの多用も雑だし、なんだか取り口が悪くなりましたねぇ。白鵬がこういう相撲取ったら大バッシングでしょうけど、何も言われないのは本人にとって良くはないと思う。

 

 十両では、宮城野部屋の北青鵬が十三枚目から11勝4敗とやっとブレイクしました。モンゴル生まれ札幌育ちの20歳。白鵬の内弟子で身長200cmの期待株ながら、コロナ感染とか右ひざのケガで苦労してたのです。そういえば宮城野親方は今場所で65歳定年だとか。炎鵬も八枚目で勝ち越したので、良い餞別になったはず。

 

 昨年五月、コロナ対策の協会ガイドラインに違反し、六場所の出場停止処分を受けた元大関・朝乃山が三段目二十二枚目で復帰。7戦全勝で三段目優勝したのはさすがです。

 

 今になって処分が重すぎたという意見もちらほらありましたけど、相撲協会の聞き取りに虚偽申告を繰り返したことや、同行のスポニチ記者と口裏合わせしたり、その記者が関係者をヤクザまがいの恫喝脅迫するに至っては悪質極まれり。引退させられなかっただけで大温情というべきでしょう。どこまで番付を戻してくるか楽しみです。

 

 毎度取り止めない、大相撲名古屋場所の感想でした。