みつまめの「このレコード聴いてみた」
「Ja,Zoo」
hide
古今東西あまり関係なく、みつまめのお気に入りレコードを披露する 「このレコ!」、今回は今や伝説となった方のアルバムです。
「Ja,Zoo」(1998年11月21日発売)
1.SPREAD BEAVER 2.ROCKET DIVE
3.LEATHER FACE 4.PINK SPIDER 5.DOUBT ’97
6.FISH SCRATCH FEVER 7.ever free 8.BREEDING
9.HURRY GO ROUND 10.PINK CROUD ASSEMBLY
7月8日、「TELL ME ~hideと見た景色~」 という角川映画が公開になるそうです。
元X JAPAN、hideさんのアシスタントを務めていた実弟・松本裕士氏の回顧録 「兄弟 追憶のhide」 が原作で、今井 翼さん演じるヒロシの目を通して、塚本高史さん演じる <hide(松本秀人)> の実像が描かれるのだとか。
1998年5月2日、享年33での衝撃の死から24年。10代の若者ちゃんが果たしてhideさんを知ってるのかどうかわかりませんが、当時を知る人にとってはまるで昨日のような鮮明さがありましょう。
X JAPANが 「NHK紅白歌合戦」 に登場するなど世間レベルで浸透してきた1990年前半には、バンドはすでに寡作というか、今もって変わらない ‟永遠のレコーディング中” ‟新作もうすぐ出る出る” 状態になっていました。
メンバーはそれぞれソロ活動に移るなか、いささか方向性が迷走気味だったToshiさんと違い、絶好調に飛び出したのはhideさんでした。『EYES LOVE YOU』(1993) 『TELL ME』(1994) 『Beauty&Stupid』(1996) とヒット曲を連発、作詞作曲、ギターワークばかりか歌声も個性的だったのに驚いたものです。
X JAPANとしても1996年11月に出したシングル 『SCARS』 はhide作。YOSHIKIさんが寡作ならこの方向でのX JAPANもアリと思えるほど良い曲でしたが、所詮はX JAPAN=YOSHIKIを脱却できずじまい。
そのX JAPANは1997年末をもって解散。解き放たれたhideさんは 《hide with Spread Beaver》 名義で1998年年明けからいきなり 『ROCKET DIVE』 がオリコン4位のヒット。立て続けのシングルとアルバムが予定されており、5月2日の死はまさにその矢先でした。
自分はその数日後、生前に収録されたCX 「ロケットパンチ!MUSIC DELIVERY」 というhideさん出演の音楽番組を観ました。
MCふたり、中原理恵さんとホンジャマカ恵とのトークで、hideさんは 「不眠症なんですよ。眠剤を服んでもダメだから、毎晩浴びるように酒を呑んで前後不覚になってベッドに入ってる」 と話していたのが印象的で、その死はやはり不慮の事故だったと確信したもの。今もそれは変わりません。
逝去後、シングルは予定どおり発売、『ピンクスパイダー』(1位)、『ever free』(1位)、『HURRY GO ROUND』(2位) は軒並みヒットし、頻繁に流れたミュージックビデオでは元気なhideさんが、もうこの世にいないことなど信じられない思いひとしお。
1998年11月、アルバム 「Ja,Zoo」(ヤ・ズー) 発売。
本当は全13曲入りだったと言われますが、未完成だったため、hideさんの盟友 <I.N.A(稲田和彦)> 氏が10曲分のトラックを仕上げました。オリコン最高2位で、実売ミリオン越え。
とはいえ、既発曲以外の完成度は低く、最後の 『PINK CLOUD ASSENBLEY』 にいたっては短いナレーションのあと無音が続き、なんと20分間もシーン状態。CDのランタイムが58分なので、水増しにもほどがありましょう。
意図について、イナ氏は 「本来はこの時間分のアルバムだったということと、hideの存在は永遠だとの願いを込めて」 と説明していました。
しかし58分あると思った自分は、内容のスカスカぶりに正直ガッカリ。シングル4曲以外は聴きどころがなく、改めてhideさんが不帰となり、もう新曲を聴けないことを惜しく思ったものです。
さながら芥川龍之介 「蜘蛛の糸」 を想起する 『PINK SPIDER』 も話題でしたが、『HURRY GO ROUND』 が ♪生き溺れても また春に会いましょう で終わるところ、今聴いても胸が詰まるものがあります。
それでは、「Ja,Zoo」 から 『HURRY GO ROUND』 をご紹介です。うわっ、泣きそう...