2月19日、TBS放送の 「白鵬ドキュメント 日下開山、最後の十五日」 を観ました。

 

 昨年9月に引退した横綱・白鵬の最後の場所となった名古屋場所の舞台裏に密着したドキュメント番組です。日下開山(ひのしたかいざん)とは横綱を表す別称らしい。

 

 名古屋場所ならず、TBSは11年間に渡って年に一度、2月に白鵬ドキュメントを放映しており、現役力士としてはこれがラストになります。文字どおり年がら年中、部屋から自宅までカメラが追っていて、家族も全員顔出し。よくストレスにならないなと感心するほどみんなふつうに振舞っています。

 

 白鵬引退にあたっては、どのメディア/プレスも 偉大な実績を残した一方... と、品格うんぬんを引き合いに出す賛否併記のトーンで興ざめでした。

 

 かつて拳銃密輸で検挙されるわ、家庭ではDV常習だった大鵬。傲岸不遜、八百長や賭博事件で失墜した角界の理事長でありながら頭ひとつ下げられなかった北の湖。土俵でけっこう派手なアクションをしていた千代の富士。実家の家族も自分の家族も、部屋の力士もすべて離散した貴乃花。彼らが白鵬以上に品格のある大横綱であったとは、自分には意味不明な価値観です。つまりは排外ヘイトでしかなかったのでしょう。

 

 それはともかく、TBSの一連のドキュメントは、白鵬関の素顔そのままを虚飾なしで伝えた良質番組でした。

 

 

名古屋場所中、内輪で引退報告

 

 

 場所中、十日目を無傷で終え、宮城野親方同席で部屋の若い衆に引退を告げるところや、十四日目朝、正代戦を前に立会いで当たらない戦術を口にするなど、興味深いシーンは密着ならでは。

 

 場所後、家族揃って東京五輪の開会式をテレビで観、モンゴル選手団入場で実況が 「横綱白鵬の父、ジグジッド・ムンフバトさんがメキシコ五輪レスリングで史上初の銀メダルを獲得」 と紹介したときに家族みんなで盛り上がっていたのが印象的でした。東京五輪まで現役、と鼓舞していたのはこのためでもあったんですね。

 

 

自宅にも常にカメラ

 

 

 ぜひぜひ来年以降も、間垣親方として番組を作っていただきたいものです。いいかげん密着がイヤじゃなければ、ですが。