3月22日、エディオンアリーナ(大阪府立体育会館)での大相撲春場所が無事、千秋楽を迎えました。
新型ウィルス戒厳下で、異例の無観客開催。
他のスポーツイベントが軒並みキャンセルを余儀なくされているなか、「モノ言わぬ神にモノを言わせた」 とでも申しましょうか、興行でなく神事である、と世間をねじ伏せたかたち。人間のおエラいさんより神が上だった。
ともあれ、娯楽の少ない昨今(なんて世だ)、15日間大いに楽しませていただいたことは確かです。強行は八角理事長の断固とした姿勢だったそうなので、もし途中で感染者が出て中止ということになったら、責任を取るつもりだったのでしょうね、千秋楽の協会挨拶は感慨ひとしおでした。
しかし、8日目に前頭十五枚目の千代丸が発熱で欠場したときはドキッとしました。関係者はもっと焦ったはず。さいわい診察したとたんに蜂窩織炎とわかったようなので、明らかな外傷があったか。
無観客ということで、テレビで観る会場は異様でしたが、慣れとはおそろしいもので、だんだん馴染んできました。相撲内容も変わらず熱の入ったもので、さすがプロと感心したものです。
大きなトピックは関脇・朝乃山の大関獲りで、直近三場所が11勝・10勝・11勝ですから昇進に値するでしょう。今のところ大関が貴景勝ひとりで、その貴景勝も今場所負け越したので、大関の椅子は空いてます。お世辞にも若手は台頭していない。
優勝争いは平幕の碧山と隆の勝がにぎわせたものの、最後は横綱白鵬と鶴竜の千秋楽相星決戦。このふたりは合い四つなので、いつも巻き変え勝負になります。
無観客場所は白鵬が締めた
白鵬は右足を痛めてたようで足首からつま先をグルグル巻きし、踏ん張りが効かない後半の2番を落としましたが、見事鶴竜を寄り切って44回目の優勝。奇しくも3月11日が誕生日とのことで、場所中に35歳になっています。
35歳を越えての優勝者は旭鷲山と千代の富士だけだそうで、2006年からの15年連続優勝と合わせ、また新しい金字塔です。
惜しくも優勝を逃した鶴竜も、ここ3場所を連続休場し、あまり負けが込むと進退が問われるところでしたが、12勝3敗の健闘。
鶴竜はかつて2017年にも4場所連続休場してピンチを迎えたところ、2018年春場所と夏場所を連覇して引退回避しました。取り口同様しぶとい人です。
無観客の15日間を完走したとはいえ、神事の側面と公益財団法人という財務の体力あってこそ。他の興行主にはマネできません。
また、力士・協会員合わせ1000人近い人数が場所中風邪ひとつ引かなかったとは驚異です。強靭な体力と、公共交通を使わず、宿泊先にカンヅメにしたのが奏功したと言わざるを得ませんが、それも財務体力のタマモノです。
ともあれ、楽しんだ相撲も終わってしまい、またテレビが新型ウィルス一色のインウツさです。観るものナイよぅ。