*2月24日付記事 の続きです。

 

 

 R大学文学部の院生・あんみつ君ニコニコの歴史トーク、今回は近現代史のしらたま教授オバケに、アジア太平洋戦争での南方戦線をテーマにした特講を受けています。

 

 本日は、マリアナ沖海戦 のおはなし。

 

 

 

 

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 あんみつシラー 「しらたま先生、1943年2月にガダルカナル島から撤退したあと、南洋諸島の日本軍守備隊は次々とアメリカ軍に攻略され、援軍なく撤退が許されない <玉砕> という名の全滅を強いられていきます。その規模は30もの島々ですけど、どうしてそんなに部隊を展開していたんでしょう」

 

 しらたまオバケ 「それは第一次大戦後に成立した国際連盟によって、日本が旧ドイツ領だった南海の島々の委任統治を認められていたからだ。日本は <南洋庁> を置いて連盟脱退後も統治し、内地からの日本人も計約10万人が移住していた」

 

 あんみつ得意げ 「そうした島々に、チェスター・ニミッツ大将による中部太平洋方面軍の反攻が始まります。一方で米豪・南西方面軍を指揮するダグラス・マッカーサー大将はニューギニアからフィリピンへと北上を開始、いわゆる二正面作戦です」

 

 しらたまオバケ 「実はニミッツとマッカーサーは政治的主導権を巡って仲が悪く、お互いの作戦に反対したので、ルーズベルト大統領がどちらの顔も立てたのさ。とくにマッカーサーは開戦時にフィリピンからオーストラリアに逃げているから、どうしても “I HAVE RETURNED” を達成したかった」

 

 あんみつしょぼん 「そのマッカーサーはニューギニアにおいて、不要な地点を攻略しない “飛び石作戦” で補給のできない日本軍の部隊を孤立させます。反撃というより飢餓とマラリアに斃れるだけとなったニューギニアの残存日本軍は、戦線のフィリピン移動によって終戦まで見捨てられ、投入20万人のうち、生きて帰れた兵士は約2万人でした」

 

 しらたまオバケ 「ニミッツの太平洋方面軍も1943年11月、ハワイからギルバート、マーシャル諸島を進撃した。マキン、タラワ、クェゼリンの守備隊が全滅し、とくにタラワではアメリカ海兵隊にも地獄のような激戦になったため、以後は犠牲を避け、やはり飛び石作戦で海上を封鎖し、島々の守備隊を飢餓に追い込んでいった」

 

 あんみつえっ 「劣勢続くなか、戦死した山本五十六を後継して連合艦隊司令長官になったのは古賀峯一大将。ところがパラオにあった司令部にも米軍が迫ったため、1944年3月30日にダバオに避難する空路途中、暴風雨に遭い消息不明になってしまいました」

 

 しらたまオバケ 「古賀長官は生死不明のまま殉職扱いとなったが、問題はセブ島に漂着した福留 繁参謀だ。抗日ゲリラに捕らえられた福留は、連合艦隊の作戦計画書や暗号表が入ったカバンを紛失してしまう」

 

 あんみつにひひ 「超有名な <海軍乙事件> ですね。ゲリラから書類を受け取った豪兵が潜水艦でブリスベンに運び、コピーを関係各所に配布して徹夜の解読作業。原本をふたたび潜水艦でセブ島に運んでシレっと遺棄したという、スパイ映画そのものです」

 

 しらたまオバケ 「捕虜になったにも関わらず、機密書類を奪われたにも関わらず、八方弁解して不問に付され、福留は以後も要職を歴任する。だが米軍の得た情報は日本海軍には致命的だった」

 

 

二正面作戦 絶対国防圏に迫る

 

 

 あんみつかお 「本土防衛の最終ラインとして、大本営が設定した <絶対国防圏> を突破したニミッツ軍は1944年6月にサイパン島に上陸。新しい連合艦隊司令長官・豊田副武(そえむ)大将は、マリアナ沖において、レイモンド・スプルーアンス大将、マーク・ミッチャー中将率いるアメリカ航空機動部隊との決戦に臨みます」

 

 しらたまオバケ 「小澤治三郎中将は空母9隻、戦艦5隻など開戦以来最大規模の艦隊を率いてマリアナ沖に出撃した。必勝の作戦はアウトレンジ戦法。アメリカ艦上機の航続範囲外から敵空母を攻撃するというものだ。日本のゼロ戦は、アメリカのヘルキャットより長く飛べるからね」

 

 あんみつプンプン 「それは、ゼロ戦が軽いからですよね。軽いのは防弾装備もパラシュートもないから。ヘルキャットは機体が重くなっても防弾板に加えて救命キットを備え、戦闘中の海面区域には必ず潜水艦を配備して撃墜機から脱出したパイロットを救助しました。被弾したらおしまいのゼロ戦と比べ、どれほど心強いか」

 

 しらたまオバケ 「また米軍空母が新装備したVT信管...マジック・ヒューズと呼ばれる小型レーダーを内蔵した高射砲弾も大きな威力を発揮した。敵機に命中しなくても、近付いただけで爆発するんだ」

 

 あんみつショック! 「度重なる敗戦でのパイロット戦死により、ゼロ戦搭乗員の錬度が低くなっていましたから、アウトレンジ戦法も狙いどおりにいかず、出撃したゼロ戦はことごとくヘルキャットとマジック・ヒューズに撃墜されました」

 

 しらたまオバケ 「悪いことに、空母に打撃をあたえるためにゼロ戦は250キロ爆弾を兵装していた。最大のウリである機動力すらないゼロ戦は逃げることも出来ず、まるで鈍重な七面鳥を猟銃で撃つようだ、とヘルキャットのパイロットは評した」

 

 あんみつガーン 「6月20日、追撃を受けた日本軍は小澤司令官の乗る空母 <大鳳> や <翔鶴> <飛鷹> が撃沈され、航空機380機を失い戦死者2451人。起死回生となるべき空母決戦は、これ以上ない一方的な敗戦に終わりました」

 

 

 

 

 

 今回はここまでです。

 

 二ミッツ軍、マッカーサー軍の二正面作戦でついに大規模反攻に出た連合軍に対し、戦線縮小した <絶対国防圏> すらあっさり破られた日本は、フィリピンで南方戦線最後の決戦を図ります。

 

 次回は 断末魔のレイテ のおはなし。

 

 

 それではごきげんようオバケニコニコ

 

 

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