*7月23日付記事 の続きです。

 

 

 R大学文学部史学科のぜんざい教授ねこへびと、教え子の院生・あんみつ君ニコニコの歴史トーク、今回のテーマは 源 義経 です。

 

 本日は、屋島の合戦 のおはなし。

 

 

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 あんみつ得意げ 「先生、寿永三年(1184)二月の一の谷の合戦で完勝を収めた義経は、ここで有名な頼朝とのボタンの掛け違えが起こります。恩賞として後白河院が義経を <検非違使> に叙任したことで、鎌倉の怒りを買ったというものです」

 

 ぜんざいねこへび 「平家が都落ちし、義経が京都の治安を任されるようになったことで、後白河が義経を取り込もうとした、という見解は長らく通説だった。頼朝が京都朝廷の支配を脱し、武士による東国政権を作ろうとしたのに、義経の任官はその意向を察しない、不見識な行動だと解釈するものだ」

 

 あんみつむっ 「だから義経は武将としての才能はあっても、政治的センスは無能だと酷評されるんですよね。検非違使左衛門尉は判官と称されるので <判官贔屓> の語源になりましたが、逆に頼朝を持ち上げ、義経を貶める人物評も目立ちます」

 

 ぜんざいねこへび 「元暦元年(1184,四月から改元)六月、共に一の谷で戦った兄・範頼が三河守に叙任されたのに、自身に恩賞がないことを義経が不満に思った、というのは実はあまり信憑性がない。七月に義経は伊勢・伊賀で蜂起した平家勢力の討伐に当たっていて(三日平氏の乱)、京都で褒美を待ってたわけじゃない」

 

 あんみつえっ 「あれっ、一の谷のあと、勝手に任官したのを怒った頼朝が義経を平家追討軍から外し、範頼を総大将にしたのではないんですか?」

 

 ぜんざいねこへび 「うん。義経の主な任務は京都の治安維持だから、伊勢・伊賀の平家討伐は重要だった。しかも、検非違使任官を頼朝が責めた事実はない。むしろ、頼朝腹心の大江広元が口利きして、義経に内昇殿が許され殿上人に列されている。義経の戦功に対する褒賞として、頼朝も認めていたと言っていいだろう」

 

 あんみつショック! 「義経の運命を狂わせたのは、勝手に検非違使に任官したからだと言われてきました。もしそれが頼朝の認めるところだったとなると、義経の政治的才覚がゼロだったせいだという自業自得論は、なんの説得力もないことになります」

 

 ぜんざいねこへび 「前に君が言った、事実ではない出来事を材料にして歴史上の人物を論じるのは公平じゃない、というのはまさにそのとおりだよ。掘り下げて知るより論評するほうが安易だし楽しいというのはあるが、君にはよく学んで、調べを深めていってほしい」

 

 あんみつべーっだ! 「はいっ、よくわかりました。ところで先生、義経が伊勢に出陣しているあいだ、西国の平家と戦っていた範頼は、だいぶ苦戦していますね」

 

 ぜんざいねこへび 「平家は棟梁の平 宗盛(清盛三男)が讃岐・屋島で。新中納言知盛(清盛四男)が長門・彦島に城郭を築いていた。範頼はやれ船が少ないだの、食糧が足りないだので戦いの埒が明かず、後白河も頼朝も、義経が自分で出陣したいと要請したのを容れることになった」

 

 あんみつシラー 「ここで屋島の合戦に至るわけですね。屋島というと義経と梶原景時の逆櫓論争や、那須与一宗高の扇の的の話が有名ですけど、戦いの位置づけでいうと、瀬戸内海の平家の拠点という意味で大事な地です」

 

 ぜんざいねこへび 「元暦二年(1185)二月、義経は宇治川、一の谷と同じく速戦速勝戦法に出る。少ない軍勢と風雨を押して出航すると、伊予阿波の在地水軍を味方につけ、屋島の民家に火を放って混乱させるや、一気に城郭を奇襲して平家軍を海上に追いやってしまった」

 

 あんみつかお 「奥州以来の郎党だった佐藤継信が戦死するほど激しい戦いだったと言いますが、兵数で劣るのを奇襲で突破したというので激しさがわかります。義経の戦法って、いつも乱暴というか無理やりですよねぇ」

 

 ぜんざいねこへび 「だがこれで平家は瀬戸内海の拠点をも失い、九州では葦屋浦(福岡県遠賀郡)の戦いで範頼軍が平家方を破って上陸していた。平家の行き場はもう、知盛の彦島しかなかった」

 

 

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 今回はここまでです。

 

 一の谷のあと京都で治安維持にあたり、伊勢に出陣した義経は、頼朝の不興を買ったわけではありませんでした。

 

 西国に戦線復帰するや、またしても速勝を収めた義経、ついに平家を壇の浦に追い詰めます。

 

 

 それではごきげんよう(*^ー^)ノ。

 

 

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