*4月9日付記事 の続きです。

 

 

 R大学文学部史学科のぜんざい教授ねこへびと、教え子の院生・あんみつ君ニコニコの歴史トーク、今回のテーマは武田勝頼です。

 

 本日は、長篠の敗戦後、勝頼の巻き返し大作戦。

 

 

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 あんみつかお 「先生、長篠での大敗は、武田にとって得がたい名臣を喪った以上に、領国経営面での苦境を招いたんですね」

 

 ぜんざいねこへび 「たくさんの宿将が戦死したことで、軍忠に対する恩賞を出さなければならなかったのだが、負けて領地が増えたわけじゃないから、褒美にする土地がない。逆に織田徳川は攻勢に転じ、しきりに武田領に侵入してくるようになった」

 

 あんみつショック! 「東美濃の岩村城は長篠後半年経った天正三年(1575)十一月に陥落、城主の秋山虎繁をはじめ、城兵ことごとく殺戮される残酷な落城でした。さらに十二月、遠江の二俣城は徳川軍に降伏。どちらも信玄時代に武田が占領した要衝です」

 

 ぜんざいねこへび 「こうした劣勢に対し、勝頼は織田徳川と戦うには背後を固める必要があると、前将軍・足利義昭の斡旋で上杉謙信との和睦に成功。また北条氏政の妹を正室に迎えることで甲相同盟をも強固にした(天正五年一月)」

 

 あんみつべーっだ! 「当時の関東は、武田・上杉・北条の三すくみ状態。上杉と北条は利害が相容れないから甲越相三和とはいかないですけど、両者と敵対関係を解消したのは、勝頼にとって上々の外交成果ですよね」

 

 ぜんざいねこへび 「上杉謙信は関東管領として、北条の関東切り取りをけっして認めないからね。対信玄のため一時、越相同盟を結んだがやはりすぐ破綻した。お互いに関東覇権を正当化する “北条” “上杉” の苗字を言わず、“伊勢” “長尾” と呼び合っていたくらいだ(笑)」

 

 あんみつシラー 「しかし足利義昭や石山本願寺の斡旋に応じ、謙信は関東では停戦、織田信長との対決にシフトします。この謙信の変節については研究の対象になっていますが」

 

 ぜんざいねこへび 「うん、関東平定に生涯を賭けてきた謙信が、なぜ最後に上洛を志向したのか。これについては、越中・加賀・能登を平定したのはあくまで北条討伐のため、後顧の憂いを無くす目的だったとも言われる」

 

 あんみつ得意げ 「そうだとすると、天正四年(1576)の謙信の出陣は、越山、つまり上野・下野の北条勢力と戦うための地ならしだったことになります。ですが実際、謙信は北陸道で織田軍の主力と激戦していますよね。北条は北条で、この時期には房総や常陸で戦っている。とても謙信の越山を警戒してるとは思えません」

 

 ぜんざいねこへび 「だから私は、武田が弱体化したことで、それまで謙信に対して礼を尽くしていた信長にその必要がなくなり、背を向け本願寺攻撃に本腰を入れたことが彼を激怒させたと思う。謙信は北条より、信長打倒を優先したと見ても矛盾はないだろう」

 

 あんみつべーっだ! 「なるほど。足利義昭と本願寺、毛利輝元がふたたび対信長包囲網を張るため、今度は謙信を盟主に仰ぎました」

 

 

 

 

 ぜんざいねこへび 「本願寺門跡・顕如(光佐)の命令で、謙信をしばしば悩ませてきた一向一揆が鉾を収め、彼の行く手を止めるものはなくなった。上杉軍は 越中・能登・加賀 を併合し、手取川の戦い(天正五年九月)で四万もの織田軍を撃滅したのは有名だ」

 

 あんみつにひひ 「武田勝頼も謙信の要請を受け、遠江に出陣して徳川を牽制しています。長篠で勝ったとはいえ、武田が怖い家康は、浜松城から出ませんでしたが」

 

 ぜんざいねこへび 「ここまではよかった。信長はまたしても苦境に立ったし、勝頼はチャンス再来と思ったことだろう。だが運命は皮肉、天正六年(1578)三月に謙信は脳溢血で急逝し(享年49)、上杉軍は撤退することになった」

 

 あんみつむっ 「信玄、謙信にはてんで敵わなかった信長が、直接対決を目前に両者とも陣没してしまったんですから幸運ですねぇ。それは逆に勝頼にとって悪夢であったわけですけども」

 

 ぜんざいねこへび 「謙信は生涯独身であったため、後継者が決まっておらず、上杉家中は分断してしまった。そしてこのときの対処が、勝頼の運命を大きく左右する」

 

 

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 今回はここまでです。

 

 上杉・北条との和睦で織田徳川の侵攻を防ぎ、当面の危機を脱した勝頼。

 しかし頼みの謙信が斃れたことで暗雲が立ち込めます。

 

 次回は、御館の乱と高天神落城 のおはなし。

 

 

 それではごきげんよう(^O^)/。

 

 

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