*10月1日付記事 の続きです。
R大学文学部史学科のぜんざい教授
と、教え子の院生・あんみつ君
の歴史トーク、今回のテーマは、戦国時代の四国の覇者・長宗我部元親です。
本日は、元親の父・国親の長宗我部家復興のおはなし。
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あんみつ
「先生、前回のお話だと、長宗我部氏はいったん滅んでしまったんですか。応仁の乱のあとの天下の混乱は、四国の一豪族にまで影響していったんですねぇ」
ぜんざい
「そう。よく戦国時代は “下剋上” の時代と言われるが、内実はそうでもない。中央政府の統治力が落ちたからこそ、お公家とか武士の名門の権威がモノを言うんだ。尊敬と、あるいは利用価値ある存在としてね」
あんみつ
「なるほど。だから応仁の乱後、有名無実な足利将軍家が、まがりなりにも織田信長の時代まで存続し得たんですね。そういえば武田も上杉も今川も毛利も島津も、主だった戦国大名はみんな守護大名の名家です。織田にしたって、室町幕府の重鎮・斯波家の守護代だし」
ぜんざい
「だから、別に戦国時代だといって、誰もがのし上がるチャンスがあったわけじゃない。四国でいえば、京都の戦乱を逃れていた一条房家(1475~1539)という公家が、その毛並みで尊敬を得ていた。当時、土佐の幡多郡中村に御所を構えていたので、滅ぼされた長宗我部兼序の遺臣が、遺児・千雄丸を連れて、匿ってくれるよう懇願したんだ」
あんみつ
「一条卿の庇護を受ければ、土佐で身の安全が保証される というわけですね。それにしても厄介ごとを持ち込まれた房家は、どうしたんですか?」
ぜんざい
「もともと、一条家が土佐に亡命した際、長宗我部の先祖が尽力した縁があったと言われる。房家は快く千雄丸を養い、学問や武芸にも励ませた。しかも兼序を滅ぼしたのち、長岡の土地を横領していた豪族たちに命令して、一部を返納させ、千雄丸に与えたんだ」
あんみつ
「へぇ、そこまでしてくれるなんて大恩人ですねぇ。同時に、土佐における一条卿の権威にもビックリです」
ぜんざい
「千雄丸は長岡郡に帰ることを許され、岡豊城を再興する。15歳のときに元服し、宮内少輔(くないしょうゆう)国親 と名乗った(1518)」
あんみつ
「これでお家再興が成ったし、メデタシメデタシですね。あぁ、でも父の仇敵たちは周囲にウジャウジャいるんだ」
ぜんざい
「うん。一条卿のおかげで長岡郡の豪族として復帰はできたが、かえって憎しみを深めた近隣豪族との関係は緊張するばかりだ。国親自身、父の仇打ちを心に決めていたしね」
あんみつ
「そのためには、まず自家を経済的にも軍事的にも大きくし、いざとなったら助けてくれる味方が必要ですけども」
ぜんざい
「そこで、同じような境遇の没落豪族で、吉田孝頼(1494~1563)というブレーンを得た。妹の婿に迎えたくらいだから、家臣というよりまさに同志だね。彼の政治的手腕で、長岡郡は大いに盛り立ったという」
あんみつ
「ここまで来ると、いよいよ国親による土佐統一事業の取り掛かり、というわけですか」
ぜんざい
「いや、それがね。一条卿にしてみたら、土佐に戦雲が起きるのはうれしくないわけだよ。だから逆に国親に対し、他の豪族との和親を命じる。大恩ある一条卿には逆らえないから、国親は仇敵の本山茂辰(しげとき)に、娘を娶わせることにした。本山は必ず滅ぼしたい憎い相手だが、当時の実力ではまだまだかなわない大豪族だったからね」
あんみつ
「ザ・政略結婚だ(笑)。国親の心情もフクザツだったでしょうけども」
ぜんざい
「この結婚にはフィクションながらおもしろい逸話がたくさんあるから、いつかヒマなとき調べるといい(笑)。事実としては、茂辰が国親を舅にしたことは、本山氏と連合している豪族たちに亀裂を生じさせた。だって、自分たちがかつて長宗我部氏になにをしたか、よくわかっていたからね」
あんみつ
「そうか、国親がいつか復讐の機会を窺ってることは明白ですからね。特別策を講じなくても、勝手に仇敵たちがお互い疑心暗鬼になったんだ(笑)」
ぜんざい
「やがてそのチャンスが来た。天文十六年(1547)、大津の天竺花氏と戦って勝利し足元を固めると、楠目(くずめ)城の山田丹波守基通という豪族も仇敵のひとりだったのだが、政治が乱れて民心離反している時を狙って、あっさりと攻め取ることが出来た」
あんみつ
「ここまで30年ですか・・・やっと執念が実り始めましたね。本山氏はどう思ったんでしょうか。アイツついに牙を剥いたか、みたいな」
ぜんざい
「それが国親・孝頼コンビは熟慮してね、丹波守を討つことはせず、領地を取って隠居させるだけにしたんだ。旧領回復という名目でね。だから本山氏も口出し出来ず、それによってさらに土佐における本山氏の人望も落ち出した、というわけさ」
あんみつ
「こうやって着々と地場を固め、いよいよ本山氏と決戦、というところに漕ぎ着けましたね」
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今回はここまでです。
一度は滅亡しながら、長宗我部家を復興できたのは、国親の執念もさることながら、戦国期武家の事情も大きく作用していました。
次回は国親土佐制覇への戦い、そして元親登場です。
それではごきげんよう(・∀・)/。

