本日は、みつまめお気に入りの特撮ヒーロー作品を観たまんま放談する、「みつまめスーパーヒーロータイム映画」。

 さて、第3弾の今回は...


       「轟轟戦隊ボウケンジャー」(2006)


 東映スーパー戦隊シリーズ第30作目で、2006年2月から2007年2月のオンエア。
 オンタイムで観て、その後何年かして、通しでもう一回観ました。

 

 


 その名のとおり題材は 「冒険」 で、地球のどこかに眠る秘宝・プレシャスのうち、人々に害を与える危険なアイテムを発見・回収する <サージェス財団> の組織した特別チームがボウケンジャーです。

 にしても、轟轟(ごうごう)戦隊とはずいぶん造語が過ぎますが・・・けっこう地方の自治体がゆるキャラ用に商標申請してしまっているため、~戦隊 のネーミングについては本家・東映も困ってるらしい(笑)。

 ボウケンジャーのチーフ・ボウケンレッドになったのは “不滅の牙” の異名を持つ伝説のトレジャーハンター・明石 暁で、演じた 高橋光臣さんは朝ドラの 「梅ちゃん先生」 などでその後ブレイクしました。

 役名は、歴史上の冒険家+色で統一されており、ボウケンブラック/伊能真墨、ボウケンブルー/最上蒼太、ボウケンイエロー/間宮菜月、ボウケンピンク/西堀さくらと、実にクオリティが高いネーミングでした。
 
 ボウケンジャーはプレシャス探しに励む一方、「自分だけの宝物」 を探し求めており、それは過去に経験したトラウマゆえ。それがどういうものだったのか、が物語が進むごとに明らかになっていきます。

 当初、明確なリーダーである明石がやや高圧的な人物に描かれていたように思っていたのですが、再見したときはそうでもなかった(笑)。
 それより、なにかと明石をライバル視するあまり、言うことをきかずにピンチを招く真墨のほうがイラっとくる(笑)。その明石と真墨の愛憎関係も、終盤の重要な鍵になります。

 蒼太は元国際スパイで、戦争に手を貸した過去への悔恨。菜月は過去の記憶がなく、誰からも信用されてないことへの恐怖。さくらは超お嬢さまにして元自衛隊員ゆえ、男から敬遠された経験しかない・・・と、キャラ設定が濃すぎるくらい濃い。
 しかし、全体的にはいたって明るいトーンで、シリアス一辺倒ではありません。

 追加戦士・ボウケンシルバー/高丘映士はさらにキャラが濃く、民話の鬼のモデルである残虐な亜人類・アシュの監視者として登場。彼自身、アシュと人間のハーフであったため、当初は自分自身の存在すら憎んでおりました。

 

 


  その後ボウケンジャーに加わった映士は明石とは上下関係がないため、映士のおかげでようやく6人が上司と部下から仲間に描かれだします。ここからストーリー的にも断然おもしろくなりました。

 映士を演じる出合正幸さんはたいへん演技の達者な方で、英語も堪能。2013年にはキアヌ・リーブス主演のハリウッド映画 「47RONIN」 に出演するなど活躍中です。

 さらなる大きな特色は、プレシャスを争う敵組織=ネガティブ・シンジゲートが4つあること。

 たいてい敵組織ってひとつなんですが・・・ボウケンジャーでは ゴードム古代文明/ジャリュウ一族/ダークシャドウ/クエスターと多士済々で、ときには打倒ボウケンジャーで共闘したり、ネガティブ同士で戦ったり、非常に入り乱れた抗争が展開されます。
 といって、ぜんぜんわかりにくいことはなく、整理されて描かれています。脚本家の力量おそるべし。

 それら敵組織をひとつひとつ撃滅し、ボウケンジャーひとりひとりのストーリーも収束していくため、全50回に冗長な回がまったくなく、濃密の極みでした。

 -いちばん大切なプレシャスは、仲間- という子ども向けのメッセージに押し付けがましくなく行き着き、満足なエンディングを迎えます。
 当時30作目を迎えた戦隊シリーズにおいて、屈指の名作と言えましょう。