みつまめの「このレコード聴いてみたビックリマーク
         「ショッピング」
              井上陽水奥田民生



 古今東西あまり関係なく、みつまめのお気に入りレコードを披露している「このレコ!」、今回は邦楽フォーク&ニューミュージックから、井上陽水氏のアルバムです。
 
 1stから順を追って、陽水氏の作品を取り上げていこうという大河企画、これで第21弾となります。


            「ショッピング」 (1997年3月19日発売)

                1.侘び助
                2.2CARS
                3.相当な決意
                4.ショッピング
                5.意外な言葉
                6.カラフル
                7.2500
                8.AとB
                9.月ひとしずく
                10.手引きのようなもの
                11.ありがとう
                12.アジアの純真


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                   ロリキート 

 あまりといえば、あまりな顔合わせの意外さに陽水ファンも奥田ファンも騒然となった、異色コラボレート作品です。

 小泉今日子さんの 『月ひとしずく』、そして PUFFY の 『アジアの純真』 を共作(作詞・井上陽水 作曲・奥田民生) しビッグヒットさせたことで話題をさらったこの両者、まさかアルバム一枚作ってしまうほどの間柄だったとは(笑)。

 そもそもの出会いのきっかけというのが、民生さんがまだユニコーンだった時期の曲 『雪が降る町』 の歌詞にいたく感銘を受けた陽水氏が、直筆の手紙を民生さんに送ったことから、と言われていますが、実際、その手紙というのは、『雪が降る町』 の歌詞を丸写ししただけの、他にメッセージが何もない紙切れだったそうです。

 自作の歌詞の写しを陽水氏から送られた民生さんの困惑は、察するに余りありましょう(笑)。

 さらに1993年、ユニコーンが解散(現在は活動中)し、ソロになった民生さんのまったりライフぶりにも、陽水氏は感心したといいます。

 「バンドを解散してソロになったといったら、普通はしゃかりきになるもんでしょ? それがその大事な時期に、魚釣り三昧だったっていうんですよ・・・あ、これは仲良くなれそうだなって(笑)」 (陽水氏)

 やがてプライベートつながりから、仕事面まで関係を広げた両者・・・しかしいざ、アルバムを作る段になると、あまりの音楽的バックボーンの違いに苦笑したそうです。

 「かろうじてビートルズが共通項かなぁ・・・僕がポリスとか ELO とか言っても陽水さんわかんないし、陽水さんの言うプラターズとかロネッツは、僕がごめんなさいって感じ(笑)」 (民生さん)

 そこで共通の要素を探ることを断念し(笑)、お互いの提示するエッセンスをそのまま受け入れつつ、味付けするように手を入れるスタイルの曲づくりが進められました。

 その結果、ポリス風の 『2 CARS』、エリック・クラプトン風の 『意外な言葉』、ロネッツそのまんまの 『AとB』 など、元ネタのわかりやすい楽曲が並んだため、辛口評価も飛び出すほどの奇妙なアルバムに仕上がりました。

 アルバムは曲調の雑多性をあらわす意味で 「ショッピング」 と名づけられ、アーティスト名義も “井上陽水奥田民生” と至ってシンプル。

 『アジアの純真』 のセルフカヴァーに加え、先行シングルで発売し、シングルチャート10位のヒットになった 『ありがとう』 が奏功し、1997年3月19日に発売された「ショッピング」 は、アルバムチャート最高4位をマークしています。

                    ヘッドフォン

 『アジアの純真』 ・・・アルバムでは陽水民生ヴァージョンもありますが、やはり PUFFY(大貫亜美/吉村由美) の原曲を載せておきましょう。
 1996年5月に PUFFY のデビューシングルとして発売され、ミリオンセラーヒットになりました。
 ELO っぽいサウンドは民生さんのアイディア。
 この曲、たぶん2013年の今に出てもヒットしたことでしょうね。

 民生さんと PUFFY のレコーディング当日、ふらっとスタジオを訪れた陽水氏から、PUFFY のふたりにした唯一の歌唱指導は、
 「“束になって わーになって” じゃなくて、“ワアになって” と歌いなさい、でしたねぇ」 (亜美さん)








 本来、単独で曲作りする両者だけに、井上陽水奥田民生 での作業は非常にラクだったといいます。
 
 「アイディアがあって、そこから煮詰めるところがたいへんなんですけどね・・そこで陽水さんに渡して、先輩あとはお願いしますって(笑)。陽水さんは陽水さんで、面倒なことは僕に押し付けたがるから(笑)。そうこうしてるうちに、なぜか出来上がってるんですよ。」 (民生さん)

 音楽の始めがリズムギターとサイドボーカルだったという民生さん、主役でもあり、脇役でもあるという自在な作業工程をリラックスして楽しんだそうです。

 アルバムで驚くのは、その民生さんのボーカル。
 陽水氏の強烈な個性に圧倒されるどころか、まったく遜色ない迫力と味わいで、シンガーとしての存在感を見せつけています。

 「まぁ、レコードやライブだとマイクのボリュームでどうにでもなりますから(笑)。でも居酒屋レベルだと声の差を思い知らされますよ。騒がしい店内で僕がいくら声を張り上げても店員さん来てくれないけど、陽水さんがひと声あげると全員振り向くんだもん(笑)。」 (民生さん)


 それでは最後に、シングルヒットになった 『ありがとう』 をご紹介♪