*今回の設定は完全に架空です


 

 東京都新宿区の、とあるビルの一フロアは「月刊スイーツプロレス」の編集部。この雑誌では、毎号 編集部員による座談会が人気の企画です。

 それでは今回も、その収録の模様を覗いてみましょう・・・。



 

    座談会出席者:

  つぶあん編集長・・・WWE至上主義のアメプロマニア。

  こしあん記者・・・・・・’80~’90年代の全日・新日に思い入れ。

  みそあん記者・・・・・・インディー・女子プロ専門に取材。

 

 

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               メモ   喫煙

 

 つぶあん 「では今日もはじめようか。今回のテーマは、2012年の日本マット界、1月から3月までの四半期を振り返って、気になった話題をピックしようと思うんだが」

 

 みそあん 「あれ? 編集長、前回は2回連続で <NOAH> を取り上げてたでしょ? あのときはまだ話の続きがあって、すぐにでもまたNOAHでいくのかと思ってたのに」

 

 こしあん 「続きって、小橋建太の話題でしょ? 小橋は2月19日、<ALL TOGHETHER> 仙台大会で、試合中に両膝を骨折して、またもや長期欠場に入りましたから、完全に続きをやる時期を逸しましたね(苦笑)」

 

 つぶあん 「小橋もなぁ~、本人は必ずまた復帰する、と意欲満々みたいだけど、正直あの試合ぶりでは厳しい。病気や度重なる負傷から、めげずにカムバックしてくる気丈さには頭が下がるが、それとは別次元でさ...」

 

 みそあん 「骨折云々以前に、両膝はかなり悪そうでしたから。試合で入場してくるときにもう足を引き気味で、試合で出来ることといったら、チョップくらい。そのチョップにしても、足の踏み込みがないもんだから迫力ゼロなんですよ。グラウンドレスリングに至っては、眼前の光景から目を背けたい気分になります」

 

 こしあん 「本人はいたってプライドが高くて、前座でやる気はさらさらないみたいですね。スター不足のNOAHですから、リングに上がれさえすれば、だましだまし、そこそこのポジションで使わざるをえないですし、観客としても小橋を観たいですからね。しかし、よりによって新日の興行で大けがして、NOAHのシリーズをキャンセルでは、さすがにNOAHファンも腹に据えかねたようですよ」

 

 つぶあん 「新日本プロレス、といえば、1月31日に緊急会見があり、親会社の <ユークス> から、<ブシロード> に身売りが発表されたが、いや~、情報集めに苦労したよ(笑)」

 

 こしあん 「編集長、ブシロードが何の会社だか知らなかったんでしょ(一同爆笑)。カードゲームやビデオゲームのソフト、アニメーションを制作する会社で、近年急成長してるそうですね」

 

 みそあん 「ユークスは何で新日株を売却したんですか? 昨年やっと新日単独の決算で黒字を計上し、これから投下資本の回収に入れる段階、と言っていましたけど」

 

 つぶあん 「もしそうだったら手放すわけないだろ(一同爆笑)。ユークスってのはヘラクレス...大阪証券取引所の上場企業だからさ、ってことは財務はガラス張りで、株主の厳しい目に晒されてるわけだ。奇しくも1月31日は、ユークスの決算日で、それに合わせて新日株の売却が発表されたということは......」

 

 こしあん 「要するに、株主がプロレス部門の赤字の山積に我慢の限界を越えたってことですね(苦笑)。かつての <WCW> がそうだったように。関連子会社の宿命ですね、業績が振るわなければ切り捨てられるっていう」

 

 みそあん 「それでも丸7年、誰かのせいで(笑)ガタガタにされた新日本をいちおうキープし、次のオーナーまで決めていってくれた谷口社長には、ほんと感謝すべきですよ。全日やNOAHも、どこかの傘下に入ったほうがぜったいいいと思います。独立採算の興行会社の形態は、プロレスにおいてはもう限界です」

 

 つぶあん 「業界全体として、現実には年々、じわじわ規模縮少していってるからな。昔からメジャー団体・インディー団体なんて区別してたが、今や業界総インディーだよ(苦笑)」

 

 こしあん 「そういえばブシロードがオーナーになって、さっそく疎遠になっているかつての看板レスラーと関係修復を打ち出しているそうですね。“永久発電を信じてる人” とか、“またがせてくれない人” とか(一同・失笑)」

 

 つぶあん 「うわ~っ、今現在の新日ファン、かわいそうに。なんでわざわざ、シロアリを家のなかに入れるかね??(一同爆笑)」

 

 みそあん 「でも往々にして、オーナーが変わると、前オーナー時代とは真逆のことをやりたがりますよね。もういきなり、2月12日の大阪大会で長らくIWGP王者だった棚橋弘至から、新鋭オカダカズチカにチャンピオンを交換しました」

 

 こしあん 「交換って(笑)。しかもやっとレスラーの名前出てきた(一同・笑)。まぁ、オカダは体が大きいですし色もついてないので、親会社交代して手始めの象徴としては、うってつけだったんじゃないでしょうか」

 

 つぶあん 「昔さ、WCWでターナー・グループから出向の役員が来るたびにロッカールームを見渡し、来る人来る人みんなシッド・ビシャスにひと目ぼれして、これから彼をイチオシにしようって言い出してたらしいよ。ビシャスも体が大きくて見栄えしたからさ。オカダに対しても似たような動機だろうね。なんにしても、これからしばらくは新体制で攻勢に出られるだろうから、それで業界全体が盛り上げれば言うことはないよ」

 

 みそあん 「新体制、といえば、ついに <SMASH> が終焉を迎えました。だんだん酒井社長とTAJIRIさんの方針の違い、というものが漏れ伝わってきましたね」

 

 こしあん 「つまりはビッグネームをどんどん投入してはやく団体を軌道に乗せたい社長と、イチから自前の選手を育てたいTAJIRIさんの相違が大きかったようです」

 

 みそあん 「概ね、TAJIRIさんを支持する側の意見が正当化されがちですね。酒井社長は結局、プロレスをコンテンツ・ビジネスとしてしか捉えていなかった、みたいな」

 

 こしあん 「実際、TAJIRIさんも 『闘わない者には何もわからない』 と発言しましたからね」

 

 つぶあん 「う~ん...TAJIRIには、団体を応援するファンの気持ちは何もわからないよ(一同爆笑)。おれは必ずしもTAJIRI側の意見が正しいとは思えない。新日本の親会社問題にしたってNOAHの混乱にしたって根っこは一緒だが、要するに、“理想郷” なんてどこにもないぞ。誰かの理想郷は、誰かのストレス源なんだよ。多かれ少なかれ、団体ってのは妥協の産物さ。TAJIRIが新しい団体を旗揚げしたところでSMASHと同じように楽しむ気分には今のところなれない。さ、じゃあ今日のところは、これでお開きにしようか」


 

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