昨日につづき、WWE PPV 「SUMMERSLAM」 の感想です。

 内容・結果に触れざるを得ないので(笑)、未見のかたはご注意を!


 

 *☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:

 

 

 ・ダニエル・ブライアンvsウエイド・バレット


 

 昨年のサマースラムでは、メインイベントの<チームWWEvsネクサス7on7エリミネーション・マッチ>に出場した両者、まる1年たって、ずいぶん立ち位置が変わりました。

 バレットがネクサス解散→コア解散→IC王者→丸腰と、どうみても 「プッシュの甲斐がない」 状態に低迷しているのに対し、ブライアンは、マネー・イン・ザ・バンクを制し、来年のレッスルマニアでその権利を行使することを宣言、実力でポジションを勝ち取った感を滲ませています。

 

 先月のCMパンクにまつわるストーリーをみていて、自分はどうも、WWE内での 「リアルな変化」 を感じています。それはビンスが本当にCEOを退いたかどうか、ではなく、クリエイティヴの面で、「放送作家が変わった」 のではないか、という点です。

 これまでだったら、パンクがらみのストーリーの斬新さは考えられない。パンクにしゃべらせる内容のアバンギャルドさといい、「今までいなかった誰か」 のペンによるのではないか、と想像するのです。

 そう考えると、トリプルHが画面に現れた理由も納得できる。たしかクリエイティヴ部門のトップはステフ&トリプルH夫妻だったはず。いくらなんでも、「自分で書いて自分で演じる」ことはないでしょうから、「クリエイティヴが変わったことでトリプルHが出演者にスライドした」のではないか、と思ったわけです。完全に憶測ですけどね。

 

 とにかく、おかげでダニエル・ブライアンがマネー戦に勝つ、という今までだったら有り得ないアナーキーな筋立てが用意されました。

 「WWE純粋培養レスラー」 を偏重してきた今までなら、ブライアンのようなインディー叩き上げが重用されることはなかったはず。ブライアンといい、CMパンクといい、「よその世界を知るレスラーの価値」を理解した上での起用でしょう。

 

 それだけに、この試合は納得しかねる。

 試合の9割をコントロールし、攻めに攻めたブライアン、一発のウエイストランドでフォール負け・・・。

 負ける方が攻めまくるって、Uインターvs新日じゃあるまいし(笑)。

 タイトルがかかったわけでもなく、何のために組まれた試合なのかも判然としない。

 これがWWE内の“微妙なバランス関係の産物”でないことを願いますが・・・。

 


 

 ・ワールド王座戦/ノーホールズバード・マッチ:クリスチャンvsランディ・オートン


 

 前回PPVで、反則裁定でも王座が移動するルールをゴリ押しして、まんまと王座を強奪したクリスチャン。

 武器使用可・反則裁定なしの完全決着戦を前に、秘策・保険の存在を匂わせていました。

 その保険とは・・・セコンドに、親友エッジ!

 4月の引退以来の登場に観客大盛り上がり。首にかかる程度までに髪が短くなり、体つきもだいぶほっそりしていましたが、オーラは変わらず。

 このままではクリスチャンの方に声援がいってしまいそうですが・・・やはりそこはストーリー。

 エッジはクリスチャンの王座戴冠を祝福しつつ、そのあざとい手口を痛烈に批判。独力で闘うように叱咤し、そのまま退場してしまいました。

 ・・・この試合の見せ場、これを以って終了(笑)。

 

 試合は竹刀・トラッシュ缶・パイプイス・テーブル・鉄階段が乱舞する激戦に。

 すべてのハードバンプはクリスチャンの担当でしたが。

 試合後半はほぼオートンの独壇場、フィニッシュは、コーナーからロールアップを狙ったクリスチャンをRKOで鉄階段に叩きつけてピン。

 結局、同一カード5連戦、反則負けの一回を除きオートンの完勝・・・。

 WWEでは、「五分の星にならない」 ことも、「力関係のバランス」 なのです。

 ここまで完敗を喫しては、もうクリスチャンの王座挑戦は当分ないでしょう。

 マーク・ヘンリーがシェイマスに勝ったので、おそらく今後の王座戦線はオートンvsヘンリー・・・。

 うわっ、「Bショー」 だわ(苦笑)。

 


 

 ・WWE王座「統一戦」:CMパンクvsジョン・シナ


 

 このストーリー一本押しといってよかった今年のサマースラム。

 自由奔放な発言を通してファンの絶大な支持を集めるパンク、復帰後はさらに一ステージ上がった感のカリスマを発散させています。

 対して、揺るぎない団体愛とファンへの謝意を表して憚らないシナには女性・子どもの大声援、プロレスマニアの大ブーイング。

 考えれば、反体制を掲げて毒舌マイクを繰り出す方が「カッコよく」みえるのは当たり前。むしろ「ラクなヒール像」ですから、観客はまんまと団体の手のひらに乗せられている格好です。シナへのブーイングも、折り込み済みのリアクションというものでしょうね。

 それにしても、CMパンクはシャレの効かなそうな鋭い目つきといい、淀みないしゃべりといい、見事なものです。例えばドルフ・ジグラーが同じことをしゃべっても、たぶん説得力がないと思う。これをやれるのは、パンクしかいない。どうみても、パンクを手放せるわけがなかった(笑)。

 

 この試合の鍵を握るのは、「レフリー・トリプルH」。

 この団体ではレスラーが特別レフリーを務めることは珍しくないですが、いずれもソツなくこなすところがすごい。

 しかし、トリプルHの場合、膝がボロボロでリタイア状態になっていることを思えば、レフリーの役割はややツラい。実際、かなり気になるほどの緩慢なレフリングでした。

 

 また、この前に行われたのがギミック・マッチで、このメインが通常のレスリング・マッチであったことも特筆です。

 元WCWの放送作家、ビンス・ルッソーは、かつてレスリング・マッチの価値をまったく認めず、「退屈極まりないもの」 と断言、PPVでの試合は極力ギミック・マッチにしたものです。

 しかしパンクvsシナのレスリング・マッチはクリスチャンvsオートンのノーホールズバード・マッチを上回る盛り上がりぶり。これをみても、ギミック・マッチが通常ルールの上位概念にあるわけではない、と確認できます。

 

 試合は前回PPVをさらに進化させた読み合い、スカしあい、新ムーブありと、魅了されずにおれない好勝負でした。

 ただし決着は、トリプルHの誤審。2発目のGTSをまともに喰らったシナ、それでも右足をロープに乗せてエスケープするも・・・それに気づかぬトリプルH、しっかりマットを3回叩いてゴング!

 シナ、猛然と抗議するも・・・けっして判定は覆らないこと察し、あっさりとリングを去る・・・。

 トリプルHはパンクにベルトを渡し、右手を上げて勝利を認定、リングを降りた・・・。

 パンクは大歓声に応え、コーナーに登ってベルトを掲げ、勝利の余韻・・・。

 そこに、客席からリングに現われた大男!

 ケビン・ナッシュ!!

 油断のパンクを襲い、ジャック・ナイフ(投げ捨てパワーボム)で叩きつけると、無言で客席を通って姿を消した・・・。

 騒然とした雰囲気に、異変を察したトリプルHがリング・サイドまで戻ると・・・陽気なメキシカン・ミュージック!

 アルベルト・デル・リオ、マネー戦勝者の証、王座挑戦権利書入りのカバンと、レフリーを連れてリングにダッシュ!!

 権利行使を宣言してゴングを要請すると、KO状態のパンクにキック一閃、あっけなく1・2・3!

 新王者はデル・リオ!!

 狂喜してWWE王座ベルトを手にし、入場ゲート前で勝利宣言するデル・リオと、目の前の事態についていけず、狐につままれた表情のトリプルH・・・。

 サマースラム、エンディングに笑ったのは、誰も予想だにしなかった、デル・リオだった!!

 

 ・・・なんとまあ、驚きの結末でした。

 詰め込みすぎ、の印象が拭えません(笑)。

 一ヶ月、盛り上げに盛り上げたWWE王座「統一戦」が、ここまでごちゃごちゃになってしまうとは・・・。

 レフリー・トリプルHがどちらに味方するのか、という興味、ステフ登場のサプライズ、など様々な事件がカムフラージュした仕掛けが・・・ナッシュ登場、というわけですか・・・!?

 最近はTNAにも出場せず、今年1月の「ROYAL RUMBLE」にゲスト出場したナッシュ、現役選手としてはもう微妙な気がしますけど、果たして2003年サマースラム以来のWWE復帰があるのか?

 そしてWWE王座を失ったシナ、パンク両者はどうなる!?


 

 というわけで、おおっヽ(゜▽、゜)ノ、というよりは、

 う~ん(-""-;)という感じだったんですけど。

 

 さんざん振ったわりには、今回で決着、というわけではなく、次回に謎を残した格好です。


 

 ・・・策(作?)におぼれたか!?


 

            ペタしてね