ミュージカル『イリュージョニスト』

@日生劇場

2025/3/20(木祝)12:00

2025/3/29(土)12:00





コロナ禍に紆余曲折の末にコンサートバージョンでの上演となった作品が、ついにフルバージョンでお目見え。
情報量が増えつつも、美しく整然とした見せ方によってコンサート版よりも万人に分かりやすくなった印象。
シンプルながら美しい舞台美術で、舞台セットをキャストたちが人力で動かしながら演じる場面も多く、それがまた本当に緻密に計算されていて場面場面が1枚の絵画のよう。
キャストもアンサンブル含め実力派ばかりで、歌唱も芝居もノンストレス。
主人公カップルが結ばれるラストなのにハッピーエンドにみえないような……?みたいな部分も楽しいです。
いやあ成河さん演じる皇太子が可哀想すぎる。し、あまりにも芝居が巧い。
カテコでは下手寄りの前方席は、ファンサのごとき「皇太子として下々の者たちを見る冷たい視線」を浴びることができます。ありがたかったです(笑)

そう、2回観劇しましたが、2回とも双眼鏡不要のお席でした。(推しが出てないと席運が良い…)
たぶんこのおかげで、物語の解像度が爆上がりしたという側面もあります。舞台上の全体が見えていたほうがわかることが多いし、『誰がどこに居てどんな表情で誰を演じているか』が見えていないと置いていかれるようなシーンもあるので…

個人的には、ジーガの役作りは前回のほうが好みでした。今回は母性が強めで…そういう繋がりや思いが強く出ていた。
栗原さんのウール警部は今回のほうが圧倒的に良い。こんなに歌うまくてチャーミングなところも見えるような役柄だったとは…!(前回は情勢の中でかなり不安定になっておられたようにみえました…)
この作品の楽曲が私は全体的にめちゃめちゃ好きなので、そこにこの歌うまキャストを揃えたらもうそれだけでミュージカルとしては勝ちという感じがあります。
『幕切れ』の曲だけは、前回の情勢下による底上げというか…独特の空気で作品の外の世界に働きかけるようなとんでもないものを見せられた記憶が鮮明で。今回は物語の中の楽曲になっていましたね。

とても上質で面白い作品だったのですが、ひとつだけ…唯一最大の勿体なかった点は「ネタバレ禁止」を制作側が観客に強くアナウンスしすぎていたことですね。
逆に盛り上がりに水を差す感じになってしまったし、むしろそれによって初見でも穿った見方をして展開を察してしまいやすくなるという弊害も出ていた印象。
そもそも「ネタバレ禁止」というハッシュタグをつけてポストしてくれという指示があまりにもセンスないなと思ってしまった。禁止という言葉と共に感想を書くというチグハグさに、運営サイドはどうか気づいて止めてほしかったですね…

すべて終わってから「ネタバレ解禁」というのもなんだかな〜って感じ。


せっかくの世界初演作品ですから、今後の展開もあるといいなあと思っています。