彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1
『ハムレット』
@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2024/5/19(日)14:00





休憩込み3時間半超のストプレ。舞台セットもごくごくシンプルで奥行きが広い。役者の力なくして成立し得ない舞台でした。
よく寝て体調万全にして行ってきました。

や~面白かったな〜!
長さを感じなかったというか、長いと感じなかった。退屈とか間延びがなく、ピンと張り詰めた緊張の糸が心地よい。

役者の皆様それぞれに魅力的でしたが、これは柿澤勇人さんのハムレットありきの作品だなと。

台詞のことばが流れないことは、個人的には芝居を観る中でもかなり重視してることなのかもしれないと気付かされたなー。うまく言えないけど、たぶんこれがハマらないと私はハマれないんだと思う。
台詞の意味を伝えるということではなくて、そういうところを飛び越えて、舞台上でその言葉を発する本人のものになっていること、そのものであること…みたいなイメージです。
いやはや、お見事でした。
難しい言葉も、唐突な展開や現代の感覚からしたら不適切な感情の流れも、狂気の中にみえる聡明さと優しさと愛される人だと感じられる魅力も、
どれも違和感なく、劇場空間に存在していました。

国王の亡霊と対峙しているときのハムレットの目が忘れられなくて…あんな、あんな目をするんだな…(いやあのシーン、もはや圧倒的な呪いみたいな感じだよね?えぐ…)
「満天の星よ!」も好きだった…!

この劇場ならではなのかもしれないけれど、思った以上に客席通路を使う演出で…前方通路横席を引き当てた私はずっとウワアアア〜〜ってなってました。声が、温度が、ダイレクトに肌に伝わってくる距離感、贅沢だった…
あまりにも近すぎて見えないというか、直視していいのか迷うような迫力に満ちていました。

終盤、剣が入れ替わったあとの切っ先の違和感にハムレットは気づいてたんじゃないかなーという気がした。破滅を避けられないことは、双方が察していそう。

白洲迅さんを舞台上で初めて拝見しましたが、これまた良かったな…!!
「おやすみなさい、優しい王子様」が絶品すぎる。そしてそのあと抱きしめたハムレットを横たえ離れていくという演出なのは難しくな
い…!???と思うんだけど、自然だった。すごい。

で、ラストシーン。
舞台機構の上方でカチャと金属音がして、ズドンと降ってくるミモザの束。次々と降ってくる。
カチャ、ドスン。
カチャ、ドスン。
カチャ、ドスン。
…………?????
それでええんか?
なんか、他の作品で前にもこういう演出があったらしいと聞いたので、様式美的なやつなのかもしれませんが、最後の最後でちょっとダサ…みたいな空気になるの勿体ない気はしてしまった。
劇中のBGMは全然ないのに、このラストシーンの前から急にBGMがかかったのも個人的には少々解釈違いかもしれない。
(このミモザの束は、地方公演からひとつに変更になっているらしいですね。…そのほうがいいと思うな)


トータルでは、とにかく柿澤さんの熱量が鮮烈で見応え抜群でした。
ゴリゴリ痩せていくというか、こんなん毎日やってたら削れていくのは致し方ないのかもしれません。本当にガリガリだった。はだけたシャツの下の薄さよ…(でも、袖のふくらんだ白シャツ超似合ってて最高)

全日程無事に完走できますように祈ってます!