『THE 39 STEPS ザ・サーティーナイン・ステップス』
@シアタークリエ
2022/05/01(日)18:00


これが初日公演でした。





ですが、翌日の2公演目は1幕終了後に急遽中止、そして以降の全公演の中止が発表されました。




たった1日、この1公演だけが
客席に届けられたすべて。

カテコの挨拶の初っぱなで、間違えて元基くんが「千穐楽」と言いかけて、でもそれくらいの充実感だ、とキャストみんなが笑っていました。

皮肉なことに、本当に初日が千穐楽になってしまった。


偶然、観劇してました。
偶然というか、必然的に。
今回はどんな作品になるか読めないなりにとても楽しみで、まずは初日を観てからチケットを増やすか決めようと思っていました。


※以下、舞台の内容にも触れています。






完成度が高く、生の舞台の面白さに満ちたコメディ作品でした。
四人だけのキャストと生バンドが舞台からハケることなく全部を全力でやりきる清々しさ。

開演前に元ネタの白黒映画が流れていたり、休憩中の幕に映し出されるタイトルロゴまわりのキャラクターのシルエットの動きもお洒落でかわいらしくセンスがあって、もちろん舞台本編は細部まで見どころ満載。目が足りない。
1幕前半のブラインドが下りないシーンでは「(舞台)止まるぞ」というようなクラウンさんの茶々が入って、(あ、これ、ハプニングなんだな…?)と察しました。(実際2日目は普通に下りたそうな)
毎回舞台上で起きる様々な事象も笑いに変えて、お客さんもおおいに巻き込まれて、一緒になって作り上げるような楽しみに溢れてました。

作品としては、あまりにも良くできているがゆえに引っ掛かりのようなものがなくて
チケット代金を考えると、即座に増やそう!とはならなかったけれど、後半日程かアフトクのある日あたり狙ってもう1回は観たいなーと考えていた矢先の2日目の公演の途中中止の報に心配が募りました。


続報を待ちながら、
彼なんじゃないかな…、という嫌な予感がありました。
(2日目のあとの5月3,4,5日は休演日で、他の出演者は他の仕事などで動いているのがわかっていたので…)
汗だくすぎて脱水症状とか、どうかそれくらいの大事に至らない感じで済んでほしいと祈っていましたが……


平方元基くん。
明るくみえるし実際それも事実だけど、とても真面目で誠実でナイーブな人なんだよなあとは常々思ってました。
そういうところも彼の魅力のひとつだけど。


コロナ禍の中で劇場が再開したクリエでの「SHOW-ISMS」で、「もう戻れないかと思った」と話した彼。その言葉に、そしてそれを口にしたことに驚いたこと、

SOMLでの、あまりにも足元が抜け落ちるかのような空気感で舞台に立っていたあの日。荒療治すぎると感じたこと、ドクターストップをかけたいとすら思ったこと、

……どうしても思い出してしまいました。



この公演の1幕ラストは、
ピストルで撃たれた元基ハネイが舞台の中央、客席手前ギリギリのところに倒れ込んで、幕が降り、その幕からハネイの上半身が出る形になっているのをクラウンのお二人が幕の内側に引き戻して休憩に入るんですが、
2日目はそこまでやって、しばらく休憩時間を延ばしたものの、結局2幕の幕は上がらず中止になったと聞きました。

……倒れ込んで、文字通り起き上がれなくなってしまったのかと思うと胸が苦しくてたまりません。


初日終了後の高揚そのままのようなテンションでゲスト出演していた芳雄さんのラジオ。
その夜のTwitterでのご本人のツイート、小松さんのツイートへの返信、
どれを見ても
さすがに翌日にこんなことになるなんて…ちょっと想像はできなかった。
元基くん自身もそうなんじゃないかな…

もちろん彼自身がこれまでに心身の不調を何も感じていなかったわけではないかもしれないけれど、それでも、本番の舞台に立てなくなるほどのものではないと思っていたからこそ、きっとすべての稽古を終え、初日の幕が開いたはずで。
……と考えると、自分のことのように悲しくつらくやりきれない思いになります。


…今はただ、自分を責めずにゆっくりと休んでほしいです。
やさしい人たちがそばでサポートしてくれますようにと願います。
たくさんの人に愛されている彼ですが、仮にそれが重荷ならいったん全部離れて、忘れて、
まずはとにかく無事に回復されることだけに専念してほしいです。


そして、先のことなんてわからないし、これを言うのはエゴだけど、
どうかまた再び舞台の上の彼に会えることを願ってやみません。

でも、本当に本当に健康第一で。

生きてさえいれば、きっと。