金曜日の夕方から次女と孫たちが2泊3日で泊まりに来ていた。
婿殿が出張でいないらしい。
この家族は以前は転勤族で地方を転々としていたので、たまに来ると1カ月滞在したりしていたが、隣県(40分程度で行き来できる)に落ち着いてからはもっぱら私がヘルプに馳せ参じるばかりでこちらに来るのは年に2回ぐらいになっている。
今回は1年ぶりだった。
いつも私がヘルプに次女宅に行く時は、用があって忙しい次女とゆっくり話す暇がないので、今回は少しゆっくり話す時間がとれた。
時々息子も加わって、昔話などにも花が咲いた。
婿殿がいると、この手の話では少し気を使ってあまり盛り上がれない側面もある。
その中で、23年前の海外駐在から戻ってきた頃の話が出た。
長女一家がドイツへ行ったばかりなので、その話の流れからだったと思う。
娘は、帰国したらミニバス(バスケットボールの少年団)に入るのをものすごく楽しみにしていたのだが、理不尽な理由で入れてもらえなかった。
娘は通い始めた学校で、ミニバスに入りたいということを友達に話したらしい。
すると、その少年団の保護者のボス的存在の人から突然電話があり、「小6の今頃のタイミングで入られるのは迷惑です」と言われた。
その思いに至る理由、言い訳をアレコレと並べ立てられた。
こちらに喋らせる間を与えないような高圧的な話し方だった。
うちは県大会を狙っている。
お遊びのチームではない。
出来上がっているチームの和を崩したくない。
このタイミングでうまい子に入られると、今までレギュラーだった子のモチベーションが下がる。
娘は初心者でうまくなんかないのだが、何故か「海外帰りのうまい子」と思われたらしい。
スポーツ少年団なんて、いつでも誰でもウェルカムなものかと思っていたのでビックリだった。
もちろん納得はできなかった。
いろいろな方法でなんとか加入できるようにする手立てが探せばあるかも知れないと思いつつ、「受け入れられない」「迷惑だ」と言われている所に無理して入れてもらってもその後、娘も私もそこで気持ちよく活動できると思えなかった。
何より、帰国後の日本での学校生活に順調に馴染んでもらいたかったのだ。
娘には隠さず全てを話し、それでも入りたいならなんとか手を尽くす、どうする?と問い、娘は加入しないことを選んだ。
その後、娘は中学、高校、大学とそれぞれで別のスポーツを楽しんだが、バスケは一度もやらなかった。
彼女は、足も速いし、運動神経も良いので初めてのスポーツもそこそここなした。
その娘が、「私は、本当はやっぱりバスケがやりたかった」と23年越しの告白。
遠い昔のことなのに胸が痛んで、つい泣きそうになってしまった。
親として、あの時選んだ方法は間違っていたのだろうか。
その保護者の娘さんは、とてもイイ子で娘はわりと仲良くなった。
同じクラスになったこともあり、保護者の方と学校で顔を合わせることもあったが、私は一度も口を聞いたことはない。
いきなり電話をして来て、高圧的な物言いで機関銃のように捲し立てられたことは忘れない。
後年、娘はその子の結婚式に招かれたが行かなかったと話した。
彼女とは良い友達だったから悩んだけど、あのお母さんに微笑んで「おめでとうございます」とは言えないなと思ったそうだ。
いろいろ傷つけていたんだなあと、23年後に知った。
切なかった。
日曜日の午後、娘は
「あ〜、ゆっくりした〜
明日からまた忙しい日常だ、、」とひとつため息をついて帰って行った。
次女よ、頑張れ。
愛してるよ。