用事のない土曜日。
外は暑そうだが、私は家でゆっくりと過ごしている。
たまたま図書館の本が一冊もなくて、家にある「積ん読」本の中から探してみる。
何冊か待機している本はあるのだが、本棚の端っこにひっそりと佇む本を手に取ってみた。
考えてみると中1の時に読んだ本なので、なんと50年所有していることになる
この家にある私の物で一番古いかも?
同世代の方で「読んだ!」という方はいらっしゃらないだろうか。
1962年に書かれた青春小説。
この装丁の文庫本は、おそらく1974年1月にNHKの少年ドラマシリーズで「マリコ」というタイトルで放送された直後に出版されたのではないかと思う。
私もドラマに夢中になった後に読んだ覚えがある。
主役のマリコを演じた浅野真弓、白石委員長役の木下清、どちらもとても魅力的だった。
この二人というと、「タイムトラベラー」の方が有名だけれど。
私は「マリコ」の二人が好きだった。
表紙と挿絵を描いたみつはしちかこも、チッチとサリーの「小さな恋のものがたり」が当時とても流行っていて大好きだった。
彼女の短い詩の入ったイラストがいろいろな所に登場し、私はそれを切り取って集めていた。
作者の高谷玲子さんは、14歳から20歳にかけて「静かに自習せよ」を書き、その後肺がんと闘い、闘病中に続編「涙で顔を洗おう」を書いた。
そして、25歳で亡くなられた。
私は高谷さんに憧れて、ものすごく影響を受け、そこから2年間ぐらいかけて青春小説を書いた。
授業中に文が浮かんで、忘れちゃいけないと教科書やノートの余白に書き綴り、のってくると授業時間中書き続けてしまい、先生に見つかって親に言いつけられた。
今思い出しても恥ずかしいほど拙いものだったが、友達が順番待ちして読んでくれた。
噂を聞いてよく知らない人にまで学年中に広まり、借りる順番を書いた表がノートの裏表紙に貼られた。
よく紛失しなかったものだ。
そのノートは高校を卒業して上京する時にたくさんの日記帳と一緒に捨ててしまった。
残しておくのがあまりにも恥ずかしかったのだと思う。
才能がなかったのでそういう道に進むことはなかったが、書くことはずっと好きでこの年まできた。
作家になれていたら、「私の原点です」とインタビューで答えたのにね
「里見さとみ」はその時のペンネーム。
(漢字はちょっと変えてみた)
話がそれた。
そんな私が影響を受けた60年以上前の小説。
昭和半ばの中学生の青春をいきいきと描いている。
読んだ当時中学生だった私だが、自分たちよりもだいぶ大人びた登場人物やストーリーに思えたし、背伸びしながら物語に入り込み恋に恋する夢見る夢子になったものだ。
今の本より字が小さくて読みにくい。
が、頑張って読み始めた。
これだけは絶対に捨てずに、50年間、引っ越すたびに私が持って歩き続けた本。