キャッチャーの定位置で座っている孝太郎。
孝太郎「達也ァ」
(大熊の声)「新田さん」
左向きの大熊。
(大熊の声)「望みが贅沢ですよ」
須見工のベンチ、全体。左に新田、右に大熊、隣り合わせ。
(大熊の声)「俺たち須見工の目標は五回連続甲子園出場」
快音を残して振り切る、六番バッター坂本。
(大熊の声)「そして」
横っ飛びの久保田、捕れず、打球、一、二塁間を抜ける。
一塁を走り抜ける坂本。
(大熊の声)「念願の甲子園初優勝」
バントする七番バッター佃。
一塁線に転がる打球。
(孝太郎の声)「広瀬捕れ、久保田一塁!」
広瀬、打球を素手で捕り、一塁に送球。
久保田、一塁を踏んで送球を受け取る。
孝太郎、マスクを取って両手を上げている。
(アナウンサーの声)「キャッチャー松平の冷静な判断」
アウト数が二つ点灯の、電光掲示板。
(アナウンサーの声)「明青、ツーアウト目を取りました」
二塁ベースを踏んでいる坂本。
(アナウンサーの声)「しかし二塁ランナー坂本が帰れば」
マウンド上の達也、二塁ランナーを見て、セットポジション。
(南の声)「タッちゃん」
(原田の声)「あれはタッちゃんじゃねえ」
スタンド、左に南、右に原田。
打球音。
左向きの南と原田。南、ハッとした表情で身を乗り出す。
腕を突き出して捕球する、ショートの中嶋。
(塁審の声)「スリーアウト、チェンジ!」
四回裏に1が入っている、バックスクリーンのスコアボード。
(アナウンサーの声)「須見工この回1点止まり」
上村監督が座り、佃が出てくる須見工のベンチ。
(アナウンサーの声)「しかし佃の調子が上がってきただけに」
イヤホンを付けている由加、怒っているような表情で左向き。
(アナウンサーの声)「明青にとってこの追加点は痛い」
明青のベンチ、左向きで座っている柏葉。達也、右から画面に入り、柏葉の奥に座る。
柏葉「どうした? 上杉和也は力を貸してくれないのか?」
[4310touch3 48.txt]