昨日、NHKのスペシャル番組「追跡〝紅麹サプリ〟」を観た。
サプリメント製品企業の「暴走」は、かつてのアベノミクスによる「健康食品の機能性表示解禁」がスタートだった点にも触れていた。
しかし、そうした「政治告発」だけに終始しても、この問題はかたづかない。
消費者は賢く模索していかなければ、商品に飛びついた後に騙されて、とんでもないダメージを受けることにもなりかねない。
現に「追跡・・・」では、紅麹サプリを10年飲み続けて、現在、腎臓疾患に陥り、近い将来、透析さえ必要となる可能性に見舞われた60代の女性が紹介されていた。
私は、ここで大言壮語はできない。
自分の体験と実感、観察などを披歴することで、この「サプリメント問題」について考えたい。
数年前、地元のジーンズショップ「マルカワ」で店員さんと駄弁るひとときがあった。
季節は夏だった。
「『涼感』とか『軽涼』とか書かれてるけど、これ、ポリエステルも入っているんだね。ポリ系はストレッチ性とか肌触りの滑らかさで必要なのかも知れないけど、生地の目が詰まる感じがして通気性が悪くなってさ、結局、暑いんだよなあ。むかーしの話して悪いけどさ、テンセル100%とか、レーヨン100%とかのジーンズあったんだけどなあ」
そんな風に半ば独り言めいた感じで勝手に話したのだった。
店員さんは返した。
「でも、お客さんみたいにタグを裏返して見るだなんて人はいませんよ。『涼感』なら涼しいんだなって思って買っていきますよ」
私は、少々あ然とした。
だって、夏用のジーンズの良し悪しは、詰まるところ「通気性」だろう。ジーンズだって数年は履き続けられる。良品を、しかも自分の間尺に合った良品を買うに越したことはないじゃないか、と。もちろん、ポリ系ゼロの軽涼ジーンズを探すのは、ひたすら自分のためであり、他人様に強力にお勧めするだなんてことはしない。
しかも、衣類であれば、とんでもない混入物がない限りは、アレルギー反応が出たり、その他体調異常に見まわれるようなことはないだろう。少なくとも内臓器官にまでダメージを受けることはないと思われる。
しかし、口にするものは、まるで違う。
そういう私も、つい最近、浅い理解で食料品の表示を見ていた。
「国内製造」と「国産」をごっちゃにしていたのである。それはカミサンに指摘されて改めて気づいたことだった。
ちなみに、今時、乾麺の蕎麦で、小麦もそば粉も国産100%の商品をスーパーで見つけることは至難の業である。
つい先日、数ある中からひとつだけ見つけられた。
しかし、それは二把で500円を超えていた。
いやあ、一食250円超えかあ・・・とケチケチ生活を始めている私は結局、買わなかった。
私は、日頃、自分の身体の特徴、傾向をしっかり正確に掴んで、より健康な暮らしを続けられるように心がけている。
ある武術家の本を読んだ時に、次のようなくだりがあった。
アメリカ在住期間中、ウェイトリフティングなどに勤しんでいた著者の知人友人たちの大概は、時にトレーニングをやりすぎて身体のどこかを傷める。その時にサプリメントを服用するのだそうだ。そうして、またしばらくして傷める。再びサプリメントを
口にする。
で、これは結局いたちごっこではないか、と。
そもそも、身体の鍛え方も間違ってはいないか、と。
然り。
一般的な暮らしをしている私たちにとっては尚更である。強靭な身体で競技に参加しなければならない、見せなければならない、商品にしなければならない・・・といった暮らしとは無縁なわけで。
そもそも、サプリメントは自然界のものでも、農作物でもない。
クスリも同様である。
ただし、クスリに関しては専門医の診断、所見、処方という裏付けがある。それでも、それは「信仰」するものではない。相対化すべきものでもある。
「口内炎ができたらビタミンB」というのには、私もかつて釣られていた。
しかし、それで治りがよくはならないという実感があった。それに、表示を見ると、やたら添加物が多いのである。
そんな折、あるテレビ番組で、医師がコメントしている場面を観た。
その医師は言った。
「口内炎というのは、そもそも間違って口内を噛んでしまってできることが多い。ビタミンBが足りないためではないし、補うことで治りが早なるわけでもない」
稀に、何かを過食したり偏食したりという原因から口内炎になることもある。しかし、大概はこの指摘通りであることを私は実感したから、以来、ビタミンBを買うのはやめた。口内炎ができた時に買うのは、患部に貼るタイプの薬品である。
しばらく前にも書いたことで、重複になるのだが、そもそも一般的には、健康を害する原因は過食なのだ。
もちろん、例外はある。
「栄養不足」というのも、ほぼありえない。(無論、一方で「貧困家庭の食事」の問題は無視してはならない。)
しかし、とりあえず、食うには困らない生活レベルの人たちが胃腸の不調などに見舞われたら、手っ取り早い回復法は、一食二食を抜くことなのだ。
昨夜、「紅麹サプリ」問題で、ネット検索をしていると、内閣府の「食品安全委員会」のホームページに出っくわした。
官製の機関ながら、アベノミクスの規制緩和やその他、政府に右に倣え式の見解を打ち出してはいない。
「紅麹サプリ」問題に限っただけでも、すでに10年前から指摘していたことを知った。
その他のサプリメントの個別の成分分析については極めて困難らしい。かといって、それらについて論究を放棄しているのかといえば逆である。「一般論」として、サプリメントの危険性について指摘し続けている。
言って見れば、サプリメントについての警戒警報を出し続けている。アラーム音は鳴りっぱなしという印象である。
ただし、私も昨夜、初めて食品安全委員会を知った。広く誰もが見知っているというものでないことは確かである。
しかし、少しばかりこだわって検索するだけで、見つけられることも事実なのだ。
私は、これまで「西式健康法」の中の「朝食抜き間食抜き」の生活をそれなりに10数年続けて来たことで、ほぼ過敏性腸症候群を克服できた。そもそも、身体は不健康ではないが、まるで強くはない。
丁宗鐡先生の指摘した「虚証」の典型で、小学校時代、給食後に元気いっぱいで昼休みに動き回るのは性に合っていなかった。動き回っていた記憶はあるが(笑)。
「虚証」という見立ては、ある鍼灸師さんからも受けた。
「あなたに針はダメ。灸がいい。虚証だから」と。
身体も硬い。
しかし、腰痛、ぎっくり腰は避けられている。足腰の張りを感じたら(という自己流対症療法のレベルなのだが)、入念にストレッチをすることで未然に防いでいる。
冷たい水を一気に飲むだなんていう芸当もできない。過敏性腸症候群は克服きても、胃腸が弱い体質は変わらない。
冷たい飲み物はビールだけである(笑)。
前期高齢者直前の今、文字通り、肉・魚は少ない、粗食に向かうような食事の摂り方になって来た。いずれ死ぬときは水だけで済むのだが(笑)、いやいや、これからも長く生き続けそうだ。そもそも、我々の世代の平均寿命は90才超えらしい。
簡単に死ねないからねえ。
さて、自分の身体・健康管理の現実に絞って長々と駄文を弄した。
しかし、個別事例に徹して考究することは、一概に無駄とも言えないのではないかと思っている。
※関連文献・・・丁宗鐡、甲田光雄、幕内秀夫、江田証、安部司の著作