イ・チャンドン!「シークレット・サンシャイン」2019(38) | Mの映画カフェ♪

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映画の感想など




密陽
2007年 韓国

監督・脚本 イ・チャンドン
原作 イ・チョンジュン
主演  チャン・ドヨン、ソン・ガンホ、チョ・ヨンジン

な、なんと早稲田松竹でイ・チャンドン特集が組まれていました!

バーニングと

オアシスも!!

2007年の「シークレット・サンシャイン」を観ることができました。

ソウルから密陽(ミリャン)へ、一人息子ジュンを連れて引越しをするシネ
途中で車が故障し、自動車修理工場を営むキム・ジョンチャンと知り合う

ジョンチャンに住居を紹介してもらい、ピアノ教室を開いたシネだったが

土地の投資に興味があると周囲に話した事から、事件が起きる…


(この先ネタバレです)


刑務所の面会のシーンが衝撃的です

苦しんでいる加害者を許してやろうと思ったシネに対して、なんと彼は
すでに心の平穏を得ていた。

信仰によって救われたはずのシネが
あっけに取られるのと同時に、観ている私たちもまったく同じ気持ちになる

そんな事があっていいんだろうか…と。

しかし、キリスト教が欺瞞に満ちていたというよりは
神を信じることで自分を誤魔化していたのはシネ自身。

神も仏もなくなり自暴自棄になる姿は明らかに尋常ではなく他者の助けを必要としていて

そんなシネを見捨てない人もいる。

思えばいつもジョンチャンには言いたい放題でわがままばかりで

それでも笑顔でついてくるジョンチャンに

馬鹿じゃないのと思いつつ、助けられているシネの気持ちがよくわかる。

退院したシネはたまたま入った美容院で
加害者の娘と望まない再会をしてまたもや衝撃を受ける。

もちろん観客もあっと息を飲みます
シネの行動は正しくなかったのか、自分ならどうしたか、どうすれば良いのかわからない。

イ・チャンドンの映画の衝撃とは視覚的にショッキングなのとは違って
心理的にズシンとくる感じで

そういう監督はなかなかいないと思う。

たどり着いた家の小さな庭に降り注ぐ日光は
ジュンと二人でいた時に感じた陽の光と同じ

タイトルの意味がひしひしと感じられるラストに、なかなか席を立つことができませんでした。

扉をでると次の「オアシス」の上映を待つ大勢の人がいるが
2本続けて観る体力はないなぁ
いや精神力か。

重くて疲れるけれど、本当に!本当に観て良かったと思えるのが
イ・チャンドンの映画なのです。

素晴らしい。

(8月1日 早稲田松竹)