誠実さの感じられる作風「ワイルドライフ」2019(35) | Mの映画カフェ♪

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Wildlife
2018年 アメリカ

監督 ポール・ダノ
脚本 ポール・ダノ、ゾーイ・カザン
原作 リチャード・フォード

主演 キャリー・マリガン(ジャネット)、ジェイク・ギレンホール(ジェリー)、エド・オクセンボールド(ジョー)、ビル・キャンプ(ミラー)他

俳優ポール・ダノの初監督作品
この人の出演作をひとつも観ていませんが
主演の二人が気になって鑑賞

監督は原作の小説に強い感銘を受けたそうです。原作と脚本、監督、俳優の全てが上手くかみあっていて
無駄のない、誠実さの感じられる作品。
良かったです!

1960年代のアメリカ
転職、引越、失業を経て不仲になる両親と、14才のジョー

まず父親
経済力がなく妻子には高圧的。

母親のジャネットは
次第に生活に疲れてゆく

ちょっと変な感じに派手になるんですよね、ジャネット。心を病んでいく感じ
若くして子供を産んで、妻として母として頑張ってきたのに…

母を心配しながら、父を心の支えにするジョー
しかし父親がまた…

父親と母親から交互にダメージを受けるジョーが気の毒すぎる!

「ガラスの城の約束」も両親との関係を描いた作品でしたが
「ワイルドライフ」のほうが押し付けがましさがなくて良い。

それだけに最後は…思わず泣きました。

子供を大切に思っているのに、自分の人生で精一杯

それでも両親を大好きなジョーの気持ち、伝わったと思う
本当に良いラストシーンでした。

ジョーはまるでケン・ローチ「SWEET SIXTEEN」のリアムのよう

今は辛くても、大人になれば選択肢は広がる。
自分を大切にして生き抜いて欲しいと思うのみです

この話の背景には、1960年代の
強いアメリカ、強い男といった理想像があります。それが、人を駄目にすることもある

山火事は何かの象徴のよう。ジェイク・ギレンホール良かったです。
キャリー・マリガン、幸薄い演技が本当に上手くて、もはや自然にみえます。




(7月6日 恵比寿ガーデンシネマ)